『約束のネバーランド』も…実写化で設定が改変された原作漫画5本
『ジョジョの奇妙な冒険』(2017):舞台の街が違う!
『ジョジョの奇妙な冒険』は、「ジョジョ」と呼ばれるジョースター一族と、宿敵「ディオ」との因縁・闘いを長大なスケールで描いたバトルロマン。2019年までに第1~8部まで刊行されており、その部ごとに舞台や主人公が変わるのが大きな特徴です。
実写映画化がなされたのは、日本を舞台に展開する第4部の「ダイヤモンドは砕けない」。主人公の高校生・東方仗助(山﨑賢人)が変死事件の多発する地元・杜王町を守るため戦闘を繰り返すストーリーです。
杜王町という名は架空のものではあるものの、原作者・荒木飛呂彦の地元、宮城県仙台市をモチーフにしていることはファンの間では周知の事実。しかしながら、映画のロケ地となったのは仙台ではなく……なんとスペイン・カタルーニャ地方!
とはいえ、異国情緒あふれる街を日本だと言い切る開き直りが、「ジョジョ」の破天荒な世界観と妙にフィット。スペインの街中を学ラン姿の主人公たちが闊歩する絵面には度肝を抜かれましたが、大胆な改変が功を奏した例と言えそうです。
『めぞん一刻』(1986):テイストが違う!
『めぞん一刻』は、「一刻館」というボロアパートに住む浪人生・五代と、アパートの管理人を務める若い未亡人・響子さんの恋愛を描くラブストーリー。個性豊かな住人達との日常風景とともに、なかなか進展しない恋模様がコミカルに表現されています。
……が、原作連載中(1986年)に公開された映画版では、そのコミカルな風合いがガラッと激変。「妻が不倫相手と心中した」というトラウマを持つ映画オリジナルキャラクター(田中邦衛)のエピソードに大きく尺が割かれ、何とも湿っぽいテイストが強調されます。
五代(石黒賢)や響子(石原真理子)の雰囲気や、舞台となる一刻館内部の再現度は抜群であるだけに、この改変部分が奇妙に浮いており……強烈な印象を残す作品となっています。
『ドカベン』(1977):競技が違う!
『ドカベン』は、主人公・山田太郎を中心に、個性豊かなチームメイトとライバルたちの活躍を描く野球漫画。次作の『大甲子園』を筆頭に次々と続編が刊行され、全シリーズを含めた総巻数が日本一(205巻)を誇る一大作品です。
そんな“国民的”ともいえる野球漫画も、実は一度だけ実写映画化されています。公募で募ったという山田をはじめ、常に葉っぱを咥えたビジュアルが鮮烈な岩鬼、足でピアノを弾くクセ者・殿馬など、極端に戯画化されたキャラクターたちが忠実に再現され、スクリーンを過激に彩ります。
しかしなんとこの劇場版『ドカベン』、野球映画ではないのです! 登場人物たちが野球を始めるのは、ラスト15分ほどになってから。ではそれまで主に何をやっているかというと……柔道です。
実は、主人公・山田の中学時代の部活は柔道部。原作連載初期では、柔道部時代のエピソードが描かれていたのも確かなこと。ですが、映画が制作された頃には、『ドカベン』はもうすでに野球漫画として広く知られていたはず……。
制作サイドの事情は分かりませんが、中心となる競技自体を改変してしまうという荒業、これには仰天しました。
<TEXT/浅原浩>