ヤフーが名称変更。グループ再編のとき経営陣はどんな議論をしているか?
eコマース事業・メディア事業を展開する「ヤフー株式会社(以下、旧ヤフー)」が「Zホールディングス」へと10月1日に社名変更を行った。
手間が少なくこれまでの事業を維持できる
前回の記事で、ヤフーグループのグループ再編の内容について解説した。今回は、グループ再編時に経営上層部がどのような検討を行ってきたのか、多数の企業経営・買収の経験を持つ筆者が分析・解説する。
まずは、ヤフーグループが10月1日に実施したグループ再編について改めて説明する。これまでYahoo! Japanを運営していたヤフー株式会社(旧ヤフー)は、Zホールディングス株式会社へ社名変更を行った。
そして、最近、新設されたZホールディングスの子会社にYahoo! Japanの事業を引き渡した。言い換えると、旧ヤフーが、Zホールディングスに社名を変え、ZホールディングスからYahoo! Japan運営事業を分割し、それを新会社(新ヤフー)へ引き渡したということである。
ユーザー目線での違いが気づかれにくい
実は、会社が事業を分割するスキームは複数存在する。ではなぜ今回、ヤフーグループはこのようなスキームを選んだのだろうか。
一般ユーザーにとっては、Yahoo! Japanのサービスは、9月30日までも、10月1日以降も変わらずにヤフー株式会社という名称の会社からサービスを受けることになる。
これまでと法人そのものは異なるものの、会社名や実際に事業を運営する内部の人間は、9月30日以前も10月1日以降も原則として変わらない。そのため一般ユーザーに混乱を招くことはない。これが今回のスキームのメリットのひとつである。