ヤフーが「Zホールディングス」に社名変更。どんなメリットが?
eコマース事業・メディア事業を展開する「ヤフー株式会社(以下、旧ヤフー)」が「Zホールディングス」へと10月1日に社名変更を行った。
アルファベットのYの次がZであるため、Zホールディングとしたとのことだが、これは単なる社名の変更ではなく、ヤフーグループがグループ再編を行うことを意味する。ヤフーグループは持ち株会社制へと移行し、Zホールディングスがグループ各社を束ねる形となる。
今回は、このグループ再編はそもそもどのような効果を狙ったものなのか、多数の企業経営・企業買収の経験を持つ筆者が解説する。
これまでのヤフー主事業は、新会社が運営へ
どのような体制変更・再編が行われるのかを改めて見てみよう。旧ヤフーが明らかにした情報によると、持ち株会社となるZホールディングス株式会社の傘下に新会社2社を設置し、1社が「Yahoo! Japanの事業(インターネット関連事業)」を担い、もう1社が「金融系グループ経営管理」を担うことになる。これはすなわちYahoo! Japanの事業運営は、これまでの旧ヤフーから新会社(旧ヤフーの子会社)へ引き継がれることを意味する。
Zホールディングスの傘下会社には、主に以下の会社が名を連ねることになる。
・ヤフー株式会社(今回新たに設立されたYahoo! Japanの事業を運営)
・PayPay株式会社
・アスクル株式会社
・株式会社一休
・株式会社GYAO
・株式会社ジャパンネット銀行
・BuzzFeed Japan株式会社
・ワイジェイFX株式会社
金融関連サービスの強化にむけた切り離し
では、なぜこのようなグループ再編を行ったのだろうか。それは、ビジネスの拡大を続けてきたヤフーグループが、さらに効率的な事業運営を目指すためだろう。これまではYahoo! Japanの運営を中心としたインターネット関連事業と、金融管理事業(傘下の金融会社の管理統括業務)がひとつの会社の中に共存していたが、金融事業の拡大にあたり、効率的な会社運営を検討する必要が出てきたためだと考えられる。
本来は異なる経営管理が求められるインターネット関連サービスの事業と金融管理事業を、切り分ける必要性が高まったのだろう。
具体的には今回のグループ再編の狙いは3つあるのではないか。
1. 事業の特性に合わせた意思決定プロセスを導入し、事業の機動性を高める
2. 事業の特性にあった高度な人材を採用できるようにする
3. 金融事業のガバナンスを高める
ここからは1つずつ解説していこう。