「メール読んだ?」と電話や訪問してくる“メール老害”クライアントの恐怖
「いつ連絡が来るのか」と怯える毎日
その後も仕事で関わりながらも、メールを中心としたやり取りに疲れ果てながら「清水さんとの距離を見つめ直した」という前竹さん。しかし、メールの確認を怠っていると、ときにはリアルでも被害を受けていたと話します。
「清水さんの自宅とはクルマで1時間ほどの距離だったので、最悪の場合、僕の自宅近くまで押しかけてくることもありました。当時は“付き人”のように思われていたのか、まあ、それはそれでありがたいことではあったんですが、メールでやり取りすれば完結できるような内容を延々とファミレスで説明されたり、ときにはその場で実際に作業することもあって……。その方法に味をしめたのか次第に頻度も増えていき、毎日『いつ連絡が来るのか』とビクビクして仕方なかったです」
当時は仕事がないという負い目もあったのか、追い込まれるかのような毎日で「断り切れない自分も嫌でした」と振り返る前竹さん。そんな生活に別れを告げたのは、清水さんとの出会いから「3年後くらいでした」と話します。
ギャラの未払いも。ついに突きつけた三行り半
「いつだったかの仕事で未払い金があったのも、清水さんとのやり取りを断れない理由だったんです。でも、出会ってから3年くらいしたときに、ようやく『振り込んだから』と連絡があって。
同時にメッセンジャーでそれまで言い出せなかった思いを吐き出して、三下り半を突きつけました。今もたぶん若手の誰かをつかまえて同じようなことを繰り返しているのかもしれませんが、2度と関わりたくないですね」
清水さんとやり取りをした経験から「相手の時間を無駄にする人とは仕事をしない」と心に固く誓ったという前竹さん。メールの体験談としてはやや特殊なエピソードですが、相手との“付き合い方”を考える上では反面教師になりうるかもしれません。
<取材・文/カネコシュウヘイ イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>