バスケ八村塁、W杯日本代表に。選手歴8年でNBAに上り詰めた強さ
アメリカ留学当初は言葉の壁も
八村選手のルーツやスポーツ歴について、佐藤氏はこう振り返る。
「八村選手はベナン人の父と日本人の母の間に生まれました。『大きな山に囲まれ、近くに海がある』という理由から故郷の富山県をこよなく愛する21歳です。小学生時代は野球に熱中していたそうですが、その後、中学校でバスケと出会い、中学時代には身長も190センチを上回っていて規格外の体格と身体能力を持ち合わせていたようです。
中学、高校で全国大会・インターハイで活躍して一気に注目が集まり、卒業後はアメリカの名門・ゴンザガ大へ留学、NCAA(全米大学体育協会)トーナメントに出場を果たすなど、バスケの母国でもまれることでさらにプレーのクオリティを高めていきました」
アメリカ留学当初は持ち前の才能やテクニックではカバーしきれない試練もあったという。
「留学当初は言葉の壁に阻まれスキルを発揮できず、思うようにプレーがままならない時期もあったようです。飛躍を遂げ、一気にその存在感が高まった2年からの活躍の陰には、英語上達のため、チームメイトとの積極的な会話や私生活での語学習得など、地道な努力を重ねていたことも忘れてはならないでしょう」
目指すは「東京五輪」か
八村選手の強さの要因とは何なのだろうか。
「身長203cm、体重104kgという“ビッグマン”という個性だけでなく、世界で戦えるスキルを兼ね備えているところでしょう。中学、高校生の頃から、ゴール下でのプレーだけでなくあらゆるポジションを経験しています。現在でもオールラウンドでのスキルは変わらず、インサイドでの屈強さや、3ポイントを含めたアウトサイドからの攻めも得意とすることが、大きな特徴の一つではないでしょうか」
NBAとW杯日本代表入りを果たした八村選手だが、彼が目指すところは「東京オリンピックでの活躍」だと佐藤氏は話す。
「NBAというトッププレイヤーが集う舞台でのさらなる躍動はもちろん、八村選手自身も『東京五輪は夢の舞台』と語っているように、来年の東京五輪に出場し活躍をすることで、日本国内でもバスケットというスポーツが今以上に注目を集めることは間違いありません。そうすることにより、日本のバスケットボール界のシンボル的な存在として、また、八村選手が子供のころから憧れていたイチローのように、競技の枠を超えたスーパースターとしての存在をさらに大きくしていくことでしょう」
<TEXT/bizSPA!取材班>
【佐藤文孝】
新潟県在住。Jリーグ、プロ野球、大相撲やサッカーW杯、オリンピックなど多くのスポーツの現場に足を運び、選手、競技から伝えられる感動を文章に綴っている