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「暗黒時代だった」人気漫画家・三田紀房が語る、20代の頃

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20代のときは「暗黒時代」でした

――先生は30歳のときに最初の入選を果たしました。先生にとって20代はどういう期間でしたか?

三田:暗黒時代です(苦笑)。大学を出て就職して、「家に帰って来い」と言われて、実家の商売を手伝っていたんですけど、それこそ当時は商店街が地盤沈下している真っ最中で、自分の家の商売も、もう先行き可能性ゼロだと早い段階から分かっていました。「自分でなんとかしなければ」と思って出た結論が、漫画を描くことだったんです。

――アシスタント経験も全くなかったとか。

三田:「それでよくやろうと思いましたよね」と、しばしば言われます。新人賞募集で「大賞100万円」とか載っている漫画雑誌に、大賞作品が載っていて。それを読んだら、これで100万円かと。頑張れば半分くらいはもらえるんじゃないかと思ったわけです(笑)。

コメディで始まってセンチメンタルで終わる

アルキメデス

――絵の勉強をしていなくても、ストーリーは考えられるぞと?

三田:そうですね。だいたい日本人には、コメディで始まってセンチメンタルで終わる物語が響く。前半コメディにして後半をセンチメンタルにする構成を心掛ければ面白くなるという、勝手な法則が自分のなかにあった。

――根っこには漫画が好きだというお気持ちがあったんですよね?

三田:好きという感情よりは、これでお金をもらえないかなという感覚です。絵は下手だけど、話は考えられるんじゃないかと。それで出したら、入選して、本当に50万円もらえた。

 そこから当時の編集者が「何か描いたら持ってきて」と言うので、描いて持って行ったら、後で電話がかかってきて、「何号に載せるから」と。で、2週間後に原稿料が振り込まれ、これはいい商売だと(笑)。

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