「暗黒時代だった」人気漫画家・三田紀房が語る、20代の頃
成果を得るには、情報と準備が必要
――いわゆる普通の青春系のキラキラしたものではなく、『ドラゴン桜』『インベスターZ』など学歴やお金など作品ごとにひねりがあります。
三田:僕の作品は、“情報”というのがひとつのセールスポイントでもあるんです。情報を分かりやすく知ってもらう、受け取ってもらう。登場人物も、情報を受け取ったことによって、成長していく。情報と成長が一緒になって上がっていくんです。
むやみやたらに頑張るとか、がむしゃらに突っ走るというのは、僕はあまり好きでないんですよ。やっぱり何かを始めようとするときには、何かの情報を得て、成果が出るように行動していく必要があると思う。それを読者、特に若い読者に提供しているんです。
――昔はがむしゃらに頑張るものが多かったですね。
三田:そう。かつてのヒーローはとにかくがむしゃら。根性で突っ走る。でも今の時代はそれではなかなか読者にリアリティを感じてもらえない。やっぱり成果を得るためには、情報と準備が必要。自分の工程表を作って、その通りにトライしてみる。そういう成功のパターンを我々が提案していくと。
今も昔も若者は何かに束縛されている
――『アルキメデスの大戦』の場合は時代が全く違います。リサーチも重ねられたと思いますが、今の若者との違いは感じますか?
三田:基本、変わらないと思います。特にメンタリティは大して変わらない。環境や時代によって、見え方は違ってくるかもしれないけれど、いつの時代も若者は何かに束縛されている感じを持っていて。
もっと自由に生きたいのだけれど生きられないというジレンマを抱えながら、自分でどう解決するのかという方向に成長していく。それは江戸時代も明治も平成も令和も、あまり変わらないと思います。