注目の美人キックボクサーは「初の敗戦」をどう乗り越えたか
2016年に旗揚げされて以降、目の肥えた玄人系の格闘技ファンらを虜にしているキックボクシングイベント「KNOCK OUT」。
文字通り、アグレッシブな倒し合いを信条とした人気の格闘技イベントだが、そのリングでメキメキと頭角を現し、実力とビジュアルを兼ね備えた赤マル急上昇中の女子キックボクサーがいる。NEXT LEVEL渋谷ジムに所属する、初代ムエタイオープン女子フライ級王者の小林愛三選手(23)である。
この端正な顔立ちで、打ち合い上等の激しいファイトスタイルが持ち味の彼女。4月30日に開催されたKNOCK OUTの試合では、男もたじろぐ筋骨隆々なイタリアの強豪イリアーナ・ヴァレンティーノに見事勝利するなど、「ダイナマイト・ガール」というニックネームが伊達ではないことを証明した。
前回の記事では、そんな彼女がデビューするきっかけについて話を聞いたが、今回は初めての敗戦と、そこからいかに立ち直ったかについて迫った(本インタビューは6/7に行われた)。
敗戦で人生初のダウンを奪われる
――小林選手はこれまで18戦のキャリアの中で、最初の黒星(3-0判定負け)が、昨年7月6日に行われた「SHOOT BOXING Girls S-cup 48kg世界トーナメント2018」の1回戦で激突したイリアーナ戦でした。
小林愛三(以下、小林):あの時はバックハンドブロー(裏拳打ち)で格闘家人生初のダウンを奪われてしまって……。これまで練習や試合を含めて、相手の攻撃を効かされたことは一度もありませんでした。
だから私としては、ものすごいショックだったというか、試合後は「もうキックボクシングを辞めようかな」なんてことまで考えちゃったり。本当にメチャクチャ悔しかったですし、かなりヘコみました。
――その悔しい敗戦から9か月後、今度はKNOCK OUTは舞台でリベンジのチャンスが巡って来た。そして、勝利するわけですが、綿密な対策や戦略を立てて挑んだ「リベンジ戦」だったわけですよね。
小林:いや、 実は対戦相手の研究ってあんまりやらないんです。相手選手の試合の動画を見ると眠くなっちゃうんで(笑)。作戦は分析が得意なジムの代表や先輩方にお任せしています。
一番の得意技は左右のミドルキック
――えっ、自身はノープラン!?
小林:さすがにノープランというわけではないですけど、昨年の負け試合って自分のダメな部分が炙り出された内容だったと思うんです。だから、イリアーナ対策に専念するというよりは「小林愛三が好調だったときの動きを確認する」ということに重点を置きました。
なので、まずはパンチの強化、あとはヒジ打ちでカットさせることも狙っていたので、その練習もやってましたね。
――なるほど。
小林:ワタシの一番の得意技は左右のミドルキックなんですけど、蹴り技だけに頼りすぎちゃうと、モーションとかタイミングを読まれてしまうので、逆にパンチやヒジとか、蹴りに合わせたカウンター攻撃をもらってしまうんです。
だから、上下の打ち分け(パンチと蹴り)をしっかり意識して、両方の底上げをやりました。つまり、蹴りを当てるためのパンチ、パンチを当てるための蹴り。いろいろ“布石”を打てるようにもなっておきたかったので。