部屋にプラネタリウム、襖にはアニメ絵。斬新すぎるお寺に突撃
松本零士さん直筆の襖絵まである
椿住職はプラネタリウムを作るほど宇宙に興味を持っているそうです。そんな椿さんが“とある人物”に依頼して、本堂に書いてもらった襖絵を見せてもらいました。
タッチを見ればすぐにわかります。銀河鉄道999の作者、松本零士さん直筆の襖絵。
テーマは、赤い河と青い河であらわされた迷いと煩悩のなかで、中央に走る白い道を彼方にいる阿弥陀如来、勢至菩薩、観音菩薩にむかって浄土に往生しようと進む人間を表す「二河白道」といわれるものです。
阿弥陀三尊がメーテルらで描かれている、他にはありえない仏画です。
さらに聖域である内陣には、一段と巨大なメーテルの襖絵が描かれています。これはかなりの存在感です……。
このお寺が伝えたいこととは?
これらの襖絵は今年の初め頃に描かれたものだそうですが、お堂の下には4mにもなる巨大な涅槃仏があります。
これは元号が令和になってから設置されたものだそう。襖絵からわずか数か月で設置するという、とんでもないスピードでアップデートされているお寺なのです。また、菩提寺は浄土真宗という宗派であり、阿弥陀如来を唯一信仰する教えがあるので、涅槃像は本来存在しないはずなのですが、その垣根を超えてしまうのが菩提寺流。
椿住職は「次は、この涅槃像の爪を五色に塗りたい」と言っていました。
お寺の家系ではなかった椿住職は若いころ、警察官として働いていました。そんなある日、「賢くなることを教える世の中に、自分の愚かさを気づかせる教えこそ人間の道である」という生き方に出合い、仏道に入ることを決心しました。
私たちは多忙な毎日にかまけて、生きるということが「ご縁」の賜物であることに気がつかずにいるのではないでしょうか。椿住職は「お寺や仏教に触れる機会の少ない人にも気軽に来てもらいたい」と願い、今日も菩提寺をアップデートし続けています。
<取材・文・撮影/Mr.tsubaking>