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「働かずに年収1000万…」マルチ商法の会員になっちゃった20代男子、勧誘の一部始終

コラム

幹部の口車に乗せられ入会。職場の先輩は……

 宴もたけなわになるころ、入会するか否かの決断を迫られた渡辺さんは悩んだ結果、A先輩の顔を立てて、数千円の年会費を払って入会することになります。

「その場にいるメンバーとハイタッチした記憶があります。仲間意識が芽生えた気がして、なんだかスゴく楽しい気分でした」

 しかし夢はいつか覚めるもの。早々と現実世界に戻ることになるのです。

「職場のB先輩に『すごい儲け話を紹介してもらったんです。○○って知ってます……?』って言った瞬間に爆笑されました。『いまだに騙される奴いるんだ』『俺も若い頃、1度や2度、勧誘されたわ』とマジレス。念のため、僕とA先輩の共通の友人に連絡を取ってみると、どうやら彼らにも勧誘の手は伸びてて、なかには縁を切ってしまった人もいました。

 ここでようやくヤバい空間に片足突っ込んでいると自覚できたんです。『ネットに書いてある情報は信じるな』と言われていたので、悪評はすべてうまくいかなかった人が腹いせで書き込んでいるものだとも思い込んでいました。何も知らずにズルズル流されていたら、今頃“信者”の一員になっていたかもしれません……」

組織から足を洗うため、先輩の連絡をスルー

スマホ

 渡辺さんは今そこにある危機を回避するため、苦渋の選択ではありましたが、ほとぼりが冷めるまでA先輩からの連絡を一切スルーすることにしたそうです。

 パーティから数か月たった今、ようやく音沙汰がなくなったものの、一抹の寂しさも感じているとのことです。

「規約によると年会費は返金もできるみたいなんですが、今までお世話になった分をお返しするつもりで、あえてその手続きはしませんでした……。いつかこの出来事をネタとして笑い飛ばせる日がくると良いんですが」

 渡辺さんが勧誘されたビジネスがいわゆるマルチ商法だったかはわかりませんが、彼らが“仲間”を取り込むテクニックは並み大抵のものではなさそうです。

 どんなに良い話でも、まずは「おいしい話にはウラがある」と客観的に疑ってみる賢さが、社会人には必要なのかもしれません。

特集・今さら後悔している自己投資

<取材・文/蒲須坂正男 イラスト/デザイア恵利(@desire_eri)>

趣味はラジオを聴きながら散歩すること。ローカルな駅でふらっと降りて、口コミやレビューがない店に入るのが好きです

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