「働かずに年収1000万…」マルチ商法の会員になっちゃった20代男子、勧誘の一部始終
社会人になり、まとまったお金を手にするようになると、どこからか舞い込んでくるのが“アヤシイ儲け話”。
今回、話を聞いたのは渡辺俊さん(仮名・24歳)。彼の学生時代の先輩Aさんは、コミュニケーション能力に長け、義理人情を重んじる性格のため、男女問わず友だちが多い人物でした。同業種で住む場所も近かったことから、社会人になってからも2人は定期的に飲む機会があったといいます。
信頼する先輩が突然「1万円あったら何に使う?」
「ある日、行きつけの居酒屋でいつものようにバカ話をつまみに楽しく飲んでいたんです。それがトイレに行き席に戻ると、なぜか今まで見たことがないような神妙な面持ちに変わっていたんです。
一体何の話をされるんだろうとドキドキしていると、最近知り合った人物の考え方に影響され、人生観が変わったとのこと。突然の話題に困惑する僕に対して『1万円もらえたら何に使うか』と聞いてきたんです」
10万円、100万円、1000万円……と徐々に額が上がり、それぞれ真剣に考えて回答する渡辺さんに対して、A先輩は、一呼吸置いたあと「想像で終わらしたくないでしょ?」と、つぶやきます。
「A先輩は『家出した少年少女を受け入れる施設を作りたい』という夢を熱量たっぷりで語ってくれました。
僕にはそんな大それた夢がないので、『さすがA先輩、器が大きい人は夢も大きいなあ』と、のんきに感心していました。そして、その施設をつくるための資金を頑張り次第で手にすることができるかもしれないと……。お察しの通り、A先輩の人生観を変えたのは、ネットワークビジネスの関係者だったんです」
カタログを広げ、話は本題へ……
A先輩はカタログのような冊子を取り出し、組織の商品を愛用するスポーツ選手のインタビューや、組織の偉い人が有名人と写っている写真を見せて、自分たちがいかに真っ当な存在であるかアピールしてきました。そして、冊子をさらにめくっていくと、商品がずらっと並ぶ紹介ページに。
「やたらと市販品との成分の違いを強調していましたが、どれもそもそもの値段が高くて、上級な暮らしとは程遠い日常を送っていた僕にとってはミスマッチなような気がしました……」
話題は核心に迫ります。
「要約すると、自分が紹介して会員を増やしていけば権利収入を得ることができる。良いものを紹介してWin-Winの関係が築ける、と。
『それってねずみ講なんじゃないの?』って思いましたが、あの尊敬するA先輩が『まさかそんなグレーゾーンな話を持ち掛けてくるか?』という気持ちの方が強く、疑問に蓋をしてしまいました」