「死体処理の仕事もした」元暴力団の異色俳優が語る、波乱の半生
オンラインゲームで稼ぐカラクリ
――コワモテな外見とのギャップがすごい。
或布:僕は自分でシステムを再構築して、通常は絶対できない8人パーティにして遊んでました。するとパーティが予想以上に強くなりすぎて、防具を装備していない裸の状態で攻撃されても、ノーダメージという無双集団になっちゃって。あまりの強さに当時の2ちゃんねるのゲーム掲示板で「コイツおかしいだろ!」と炎上したのを覚えています。
――そのオンラインゲームですが、どういうカラクリで儲けることができたのですか。
或布:ゲームに登場する入手困難なレアアイテムがマニアに高値で売れたんです。例えば、ガディウスの場合だと「必殺の指輪」「必殺のネックレス」というレアなアクセサリーがありました。かなり強い敵を倒すか、危険なエリアでしか入手できないアイテムでしたが、無双状態の味方が8人もいれば複数ゲットも余裕でした。
それをリアルマネートレード(ソーシャルゲームやオンラインゲームの中で用いられる仮想的な物品・武器・通貨を、利用者同士が現金で売買する行為)に、セットで売り出すと、当時は120万~180万円くらいで普通に売れたんです。
過酷な幼少期。酒に溺れた母親に虐待されて…
――そんな高額で!? ゲームをバカにしてたヤクザの兄貴もびっくりですね。
或布:ビジュアル的にどうしても暴力派に思われがちなんですが、実は頭を使ったシノギも得意というか、それなりの金額を稼げるというのもあって、好んでやってましたね。
――昔でいうインテリヤクザのようです。
或布:ハハ、かもしれません。そんな僕も、子どもの頃はアルコールに溺れた母親に包丁で刺されたりして、虐待を受けていました。学校では教師公認の陰湿なイジメに遭ったこともあります。それが原因でやさぐれてヤクザになってしまい、自分で稼いだ金のほとんどを上に奪われるタコ部屋での軟禁生活が20年も続いてしまった。
――生き地獄だ……。
或布:ある時、耐えられなくなって自殺を図ったこともあったんです。でも不思議と一命は取り留めました。僕一人の力で関係を遮断できるほどアウトローの世界は甘くありません。最後は、警察の管轄下にある脱退希望者を支援する公益団体の協力を得ることができて、なんとか組織との悪縁を絶ち切ることができました。
ヤクザとの“悪縁”を断ち切るための仕組み
――高倉組は管轄の小金井警察署指導の元、プロダクションに所属する条件として、破門状や離脱意志書類等の提出が必須条件になっていますね。
或布:離脱を偽装してマフィアのように地下活動をする人もいるのようなので、ちゃんと警察のお墨付きがなければ高倉組には加入できません。
自業自得とはいえ、ヤクザを辞めた人間が社会復帰するのは大変なことなんです。僕自身もタクシー運転手を始め、何十社と面接を受けましたが、すべて門前払いでした。幸運にも高倉組長に拾っていただいたおかげで、自分の怖い見た目を生かした悪役タレントをやりながら、アフィリエイト広告やサイトの制作代行など、ネットビジネスを中心とした会社経営で生計が立てられるようになりました。