若者の恋愛下手は今に始まったことじゃない! 民俗学者がズバリ解説
さまざまなメディアで若者の“恋愛離れ”が騒がれていますが、みなさんはどう感じていますか?「ほっといてくれよ……」という人も少なくないのではないでしょうか。
実際に、内閣府の調査では20代のうち約4割が「恋人はいらない」と回答しています。恋愛に苦手意識を持つ若者が増えているのにも関わらず、現代社会では恋愛なしに結婚にたどり着けないのでしょうか?
そんな恋愛に関するソボクな疑問を、NHKの人気バラエティ番組『チコちゃんに叱られる』の解説役として最多出演の民俗学者・新谷尚紀教授にインタビュー。
今回のテーマは「そもそも昔の人ってどうやって結婚していたの?」です。
日本人はずーっと「恋愛下手」だった!?
――読者の皆さんにとって、民俗学は聞きなれない学問だと思うので、まずはそこから解説してもらえるでしょうか。
新谷尚紀教授(以下、新谷先生):簡単に言えば、民間の歴史の中から“伝承”と“変遷”を学ぶ学問。歴史は動画のように絶えず変化し続けるものです。そのなかで受け継がれる部分と、変化していく部分を知ることで、日本人・日本文化とは何かを探っています。
そして研究に不可欠なのが、全国各地でのフィールドワークと文献調査。その中で私が見聞きした内容からお答えしていきましょう。
――いまの20歳代は恋愛に消極的な一方で、将来結婚するというビジョンはぼんやりと持っているよう。現代のような恋愛結婚の考え方はいつからできたのでしょう?
新谷先生:本人同士の意思による結婚は、動物に求愛のパフォーマンスがあるのと同様に、太古の昔からあったことでしょう。しかし、現代のような恋愛観・結婚観はごく最近のものなのです。
現代の暮らしは「高度経済成長期」にできた
――と、言うと?
新谷先生:現代の暮らしは、基本的に高度経済成長期(1955~1973)のなかででき上がったもの。それ以前は、それぞれのムラの中で共同的な生活をしていました。だからお互いに知り合い同士。情報は筒抜けでした。
また、男女ともに13~15歳で「第二次性徴」つまり生理や夢精がはじまるのは、今も昔も同じ。そして、その頃から異性を気にする恋愛感情が芽生えるのです。いわゆる思春期ですね。同じ年頃の男の子・女の子は自然と集い、その中で“気になるヤツ”の情報が伝わります。そして、本人には周りからその情報が伝わっていきました。
――中学校のクラス内でのやりとりみたいなものですね。「A子さんが好き」とか「B太郎が気になる」とか。それでお節介に教えちゃうお調子者がいて(笑)。
新谷先生:そうです。そして10歳代後半頃に、お互いの合意を得たら、夜這い(よばい)、つまり肉体関係に至るんです。周りの少し年上のお兄さん・お姉さんがやり方を教えたり、そそのかしたりしていたようです。