中学生がアメリカで保護され…「意識高い系バックパッカー」は何が危険?
古くはバックパッカーのバイブルとされる『深夜特急』(沢木耕太郎)『何でも見てやろう』(小田実)などのルポルタージュ、最近ではブロガーやインフルエンサーの旅ブログに影響されて一人旅に出る若者は後を絶たない。
しかし気をつけたいのが、海外への憧れが先走ってしまい、一人旅の危険性やリスクを意識しないまま出かけてしまうことだ。
最近でも、高校生バックパッカーがビザを持たずにネパールに不法入国した挙げ句、日本に強制帰国させられたり、中学生の“意識高い系”YouTuberがヒッチハイクでアメリカ横断に挑戦したものの、ラスベガスで保護されてしまったケースもある。2人とも「海外で自分探し」といった自己啓発本や“意識高い系”インフルエンサーの影響を色濃く受けていたようだ。
中学生ヒッチハイカーが「絶対ダメ」な理由
もちろん、危険を顧みない一人旅は自己責任の世界であり、外野がとやかく口出しするべきでない。しかし、ひとつ間違えれば、未成年が危険な事件や事故に晒されかねないのだ。
これまで海外61か国を旅し、現在は金融系大企業を退職してフリーの“旅ブロガー”として活躍するマリさん(@makiro77)に話を聞いた。
花粉症の季節はどうしても眠ってばかりだから目標をいつもの8割に下げてクリアできるよう頑張る。
8時からお仕事スタート。
— マリ@子連れ旅ブロガー 3月は香港&ベトナム (@makiro77) 2019年3月3日
「今回の騒動を初めて知ったとき、まず彼の大胆な行動自体に驚きました。そのうえでどのような背景があるのかよくわからなかったのでSNSで多くの方のコメントを拝見しました。そして、これは危険だ、やめたほうが良いと思いました」(マリさん、以下同)
特に「中学生がアメリカで一人ヒッチハイクは絶対ダメ」だとか。
「海外で見ず知らずの人と車で2人きりになるのは、大人のバックパッカーでもほとんどやりません。ヒッチハイクするにしても、もっと治安の良い地域でじっくり計画を立ててするべきです。
日本と比べて海外で強盗や殺人などの重犯罪に遭遇する確率は何十倍も高い。南米での強盗、殺人は日常茶飯事で、私の夫の母国ブラジルでは2017年の殺人事件は5万5900件。もちろん人口に比べたら稀ですが、日本では毎年1000件程度ですから実に56倍です。ご両親がどういった思いで送り出したのか気になりますね。リスクをどの程度想定していたのか聞いてみたいです」
旅のプロに聞く「一人旅」危険回避する方法
もちろんなかには精神的に成熟した中学生もいるため、海外への一人旅が一概に危険とはいえない。マリさんも「年齢はひとつの目安にすぎず、成熟していないなら、一人旅は何歳になっても危険を伴います」と言う。
何より「可愛い子には旅をさせよ」ということわざのように若い頃の苦労は貴重な成長の糧だ。では、ここからは旅のプロとして、マリさんに危険回避方法を伺おう。
「バックパック旅行でもっとも遭遇する可能性が高いのはスリ、置き引き、詐欺、ぼったくり。少し治安の良くないといわれている場所ではかなり高い確率で遭遇します。また、女性だとセクハラや性犯罪に巻き込まれるリスクも高くなります。南米など特定の国でアジア人女性はとても目立ちますし、ノーと言えない日本人の性格は世界的にも有名。毅然とした態度で接することが大切です」