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レオパレス、謝罪会見を招いた“界壁問題”とは?

ビジネス

オーナー裁判の内部文書で明らかになったこと

内部文書

 番組の取材班は、前述の裁判で和解したオーナーとの裁判に関するレオパレスの内部文書の入手。それによると、文書の日付は2012年となっており、裁判で界壁が存在していない事実を明らかにした後のものでした。

 文書には「当社の一番の懸念は、現時点で『レオパレスが建築基準法違反』という記録が残ること」との記載があります。そして、この文書は経営陣も目を通していると番組で関係者が明かしています。

 さらに、和解が成立した翌年の2013年11月にレオパレスは、320億円規模の公募増資を行います。番組に出演した久保利英明弁護士は「(資金を)集められた人にとっては、『本当の姿と違う』『被害者です』ということになる」「『弁償してくれ』と損害賠償請求は出るかもしれない」と指摘します。

 番組の取材班が、レオパレスの深山英世社長にコメントを求め詰め寄りましたが、憮然とした表情で取材班を無視するばかりでした。

消費者庁、国土交通省も対策に乗り出す

 こうした事態を受けて、消費者庁は「アパートなどのサブリース契約で特に覚えておきたいポイント例」という文書を昨年の11月に公表。要点をまとめると以下のようになります。

 1.賃料が変更される可能性があります。
 2.契約期間中でも、契約が解約される可能性があります。
 3.サブリース物件を取得するために銀行から融資を受けるときは、融資を受ける金額や融資の内容を銀行に確認しましょう。

 国土交通省は7日、レオパレスが施工したアパートで、外壁や天井などで建築基準法の基準を満たしていない物件が1324棟確認したと発表。冒頭の謝罪会見はこれを受けてのものです。会見で同社は居住者1万4443人に今後引っ越しを要請する方針だそうです。

テレビ東京、攻めの姿勢にネットでは称賛の声

「テレビ東京、よくここまで取材してくれた!」
「ヒドすぎます。他の放送局も、もっと取り扱っていい問題」

 インターネット上では、放送内容への賛辞の声が数多く見られました。

 社内の判定基準で「問題なし」と判定されたオーナーの物件は、その後の再調査で、半年かけて改修されることが決定しました。オーナーは「現場のレオパレスの社員は一生懸命頑張ってやっている。安全に住めるアパートに直して、入居者に提供できれば何より」と答えました。

 会見では深山社長が辞任する可能性も示唆していました。番組でも「さらにこの問題を追及していく」とアナウンスもあり、レオパレスには誠意ある対応が求められます。

<TEXT/湯浅肇>

写真をメインに数多くの時事ネタやマルチメディア関連の記事も執筆。常に斬新な切り口で情報発信を目指すアラサー男子

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