「キャバ嬢は部屋を借りにくい問題」を歌舞伎町の不動産屋に聞く
女のコに絶対無茶させない
――どこでその違いがでるのでしょうか。
青木:不安定なコ、長続きしないコは、水商売の捉え方を履き違えているコが多いかなって思いますね。色恋営業をしないとダメだと思っているとか。
でも色恋営業はメンタルをやられるので、どうしてもそれが収入に直結して不安定になってしまう。いつもどんなお客さまにも同じように接していれば、それが収入の安定につながるものなんです。
――それでも収入が安定しないコが部屋を借りようとすることもあると思います。
青木:だから、波のあるコに貸すときには収入が良いときをベースに貸しちゃダメ。高い家賃の物件を希望してきても、これくらいのほうがいいよ、もっと安定して稼げるようになったらまた引っ越せばいいから、とアドバイスしますね。
心がけていることのひとつとして、女のコに絶対無茶させないというのがあるんです。ムリな営業をしてメンタルを病んだりして、結果としてガクンと収入が下がる可能性がある。そうすると、本人は大変だしウチの会社も家賃滞納で信頼度が落ちる。誰にもいいことがありません。
タクシーを使いまくる女のコにアドバイスも
――他に物件を紹介するときに意識していることはあるのでしょうか。
青木:ウチに来てくれるコの多くは、知識がまったくないんです。上京してからずっと同じお店で働いて、寮に住んでいたとか。そうなると確定申告はもちろんですし、物件を借りる知識もなければ土地勘もない。
まわりに教えてくれる人がいないから仕方ないんですけどね。だから、なんでもいろいろアドバイスをしてあげるようにはしています。あとは、水商売ならではじゃなくてごく普通の一般的な感覚も大切にしてもらいたい。
――金銭感覚とか、そういうことですか?
青木:夜の仕事はずっと続けられる仕事ではないというのが私の感覚です。だから、普通の感覚は持っていてほしい。例えば家賃を考えるときも、「タクシーで毎月5往復したらこれくらいの金額がかかるんだよ、片道を電車にしたらこれくらいになるから、初期費用を足してここに住んだほうがいいんじゃない?」みたいにアドバイスをするようにしています。
内見でもクルマを使わずに必ず駅まで歩いてみましょうとか。そうやって、この商売をやめても大丈夫、長く住めるように、と考えています。