国民的アニメのパロディ「ドザえもん展」と沖縄基地問題――アーティスト岡本光博が表現する世界とは?
社会問題、著作権問題などを扱うアグレッシブな現代美術作家、岡本光博がまた議論を巻き起こしている。
沖縄県うるま市で12月3日まで開催されていた「イチハナリアートプロジェクト+3」に出品される予定だった作品『落米のおそれあり』が地元自治会長の反対を受けて、イベントの共催者であるうるま市の判断で非公開となり、ベニヤ板による構造物で覆い隠されてしまったのだ。
作品は交通標識の「落石注意」のデザインをベースに、星条旗柄の山からヘリコプター、戦車、パラシュート部隊の兵士、ステルス戦闘機が落下している様子が描かれている。
このような形で美術作品の公開を制限することの是非や、沖縄における米軍基地の存在について、インターネット上でさまざまな議論が沸き起こった。
人気アニメキャラを水死体に?
その直後1週間ほどして、岡本の個展「THE ドザえもん展 TOKYO 2017」の開催が各メディアで紹介され、国民的人気アニメキャラクターと思われる人形がうつ伏せで水中に水死体のように浮かんでいる作品『ドザえもん』の写真とともに話題となった。
しかし、作品のヴィジュアルイメージや話題性が先行し、両者が岡本光博という作家の名前で繋がれていない状況にあるように見える。
過去には高級ブランドの生地を昆虫のバッタの形に縫製した作品『バッタもん』でルイヴィトン社に訴えられたり、沖縄戦戦没者の氏名を刻んだ「平和の礎」を赤鉛筆でフロッタージュ(こすりだし)をした紙を床に敷き詰めた『赤絨毯』が地元紙を中心に大きな問題になったりとこれまで幾度となく騒動を起こしている作家・岡本光博。
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