なぜ女性はおしゃれをするのか?平成生まれのオタク女子「劇団雌猫」と考える
「自分らしいおしゃれ」はどこにあるのか?
――社会/私、似合う/好きなど、おしゃれについては二項対立になりがちですが、正反対のお二人が否定しあわずにいるのが、『だから私はメイクする』の編集方針にもあらわれている気がしました。
ユッケ:ここにいない、もぐもぐ・ひらりさも、それぞれ違う考えを持っていると思います。ひとりで編集をしていると、「他人のため」と「自分のため」のどっちかの主張に流れてしまうのですが、4人のスタンスがバラバラだからこそ、このような本の形になりました。
かん:第3章の「何かのために」では、ブラデリスでの育乳や整形など、「自分のため」からも「他人のため」からも一歩進んだような、おしゃれについても取り扱っています。さまざまな美意識の方に原稿を書いてもらうことを意識しましたね。
ユッケ:そうそう。「今年の春は○○メイク」という雑誌の特集を読んで、「私もやってみよう」とポジティブに思える人もいれば、強制されているような気持ちになる人もいる。トレンドを追ってもいい、でもそこだけが正解ではないと言いたかったんです。
かん:たぶん「自分らしいおしゃれ」なんて大半の人にはないんじゃないかな……でも雑誌やSNSで目に付きやすいのは自分らしさのある人で、巷のメイク本などを見ても「自分の哲学を持とう」と言われているように感じてしまいます。でも哲学はなくてもいいし、迷ってもいい。この本のいろんな美意識を参考に、自分の近いものを探してもいい。
本では「NARSのリフ粉」「エバーソフト」だったり、今の固有名詞を使っていますが、精神性はきっと変わらない。10年後も20年後の人も、使っているコスメは違っても、どこかに共感したり引っかかったりしながら読んでくれるかなと思っています。
<TEXT/山本ぽてと>