なぜ女性はおしゃれをするのか?平成生まれのオタク女子「劇団雌猫」と考える
おしゃれをするのは「自分に自信がほしい」から?
――『だから私はメイクする』は「自分のために」「他人のために」「何かをさがして」と3章構成になっています。お二人はどの章に共感しましたか?
ユッケ:私は毎日好きな服を身に着けておきたい派なので、第1章の「自分のために」がすごく好きです。私はなにごとも形から入るタイプなんですよ。ライターの仕事をしていますが、取材にいくときにはエリのついたシャツを着なきゃいけないとか、化粧もちゃんとしたいと思う。校了前でバタバタしているときも、私は自分のことを石原さとみだと思わないと仕事に対するやる気が出ません。
だから仕事の時は「校閲ガール」(日本テレビ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」)の石原さとみを毎回思い出しています。忙しいときはラフな服装になってしまうのですが、そういうときでも、髪をおしゃれに結んだり、伊達眼鏡をしていたほうがやる気がでます。
自分に自信がほしいなと思っているんです。だからすっぴんで、あまり気に入っていないデロデロのシャツを着ているときに、上手くない原稿を書いて怒られたりすると、「まぁ、私デロデロの服着てるしな。すっぴんだし、怒られてしかるべき人間だな」と思っちゃうんですよ。
かん:ええっ(笑)。
ユッケ:気に入らない服をなんとなく選んで着たときにはテンションが下がってしまう。でもおしゃれしていたら、たとえ怒られたとしても「私はもっと頑張れる!」と石原さとみマインドで前向きに切り替えられるんですよ。だから服は無限に買ってしまいますね。
「取引先の前では化粧をしないと失礼」という先入観
かん:私はデロデロの服で、椅子の上で膝をかかえながらエンジニアとSlackしているときが、一番かっこよく仕事しているなって思います。
ユッケ:デスノートだ……(笑)。
かん:座り方だけね(笑)。私はユッケさんとは真逆で自分一人だと絶対におしゃれをしません。だから2章の「他人のために」に共感します。いまIT企業に勤めていて、エンジニアさんと仕事することが多い。周囲はたぶん、私がまつ毛を上げていようが誰も興味がない(笑)。逆にツケマ! という感じのばっちりメイクだと引かれてしまうかなぁと。
あと、単純に仕事に夢中の時って自分のことを考えるのがめんどくさい。だからほとんどすっぴんに近い状態で行きます。取引先の人に会うときは、”失礼”じゃない程度にちょっとファンデーションやリップを塗ったりしますね。
――失礼……化粧には「失礼問題」がありますよね。
かん:ありますよね。ゆるい自由な業界なので、すっぴんで行ってもそんなことは思われないと思うんですけど。どこかで「取引先の前では化粧をしないと失礼」という先入観を植え付けられています。どうなんだろう。失礼なのかな、やっぱり。
ユッケ:うーん、どうなんだろう。不潔よりは清潔なほうがいいという延長なのかな?
かん:すっぴんって不潔かな。
ユッケ:うーん。難しい。
かん:ちなみに、会社ではほぼすっぴんですけど、観劇をしたり友達と遊びに行くときはおしゃれしています。