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なぜ女性はおしゃれをするのか?平成生まれのオタク女子「劇団雌猫」と考える

コラム

副業ブームでも、劇団雌猫の活動は「趣味」

――同人誌『悪友』のvol.1のテーマは「浪費」で、『浪費図鑑』として書籍化され大ヒットしました。浪費する女性向けのイベント「よいこのファイナンス」も開催されていますよね。

かん:「よいこのファイナンス」では、ファイナンシャルプランナーの篠田尚子先生にゲストに来ていただきました。篠田先生もけっこう浪費をするタイプなんです。オタクは使うことを辞められませんし、我慢しても人生は楽しくならない。でも万が一のための備えは必要です。好きなものを我慢して節約をするのではなく、NISAや節税などを利用した貯蓄方法を教えてくれました。篠田先生は、オタクについてよくわかってくださっています(笑)。

――いま巷では副業がブームですよね。劇団雌猫さんの活動も副業と言えるのでしょうか。

ユッケ:同人誌は、副業というより趣味ですね。

かん:趣味だなぁ。実は、私も副業をしていたんですけど、篠田先生にあまりお勧めしないと言われました。副業は雑所得扱いになるので、税金が取られて効率が悪い。20~30代前半は、資格を取るなど「本業の収入を増やすための投資に使ったほうがいい」と言われて目からうろこでした。

 確かに、私が社員として副業の方に仕事をお願いした経験があって気づいたことなのですが、副業は雇う会社からするとコスパが悪いらしく、あまり長期でのお願いに結びつきにくいんです。もちろん長く1つの会社で副業されている方もいるかと思いますし、単発でいろいろな会社と仕事をされるパターンの人も多いでしょうが、結構大変だなと思います。

 同人誌をつくるのは、趣味ですし、自分で生み出している仕事なので続けられます。でも誰かに依頼されたり、業務委託で入ったりするタイプの副業だと期間に限界があり、次から次へと新たな仕事を探さないといけなくなります。副業に気を取られて本業の評価が下がっては本末転倒なので、うまくその辺りを回せる方でないとオススメしにくいかもしれません。

「1000個我慢したら、おばあちゃんになっちゃう」

世界メイク事情

※画像はイメージです

ユッケ:私はフリーなので、全部が本業ですね。好きなことには全力になれるけれど、興味のないことには頑張れないタイプなので、常に興味があることをやったほうが結果的に気持ちと収入のバランスがいいんじゃないかな。

 あくまで私の周囲の話ですが、40~50代の人は苦労したら報われる感覚があるような気がします。上司に「1000個嫌な仕事をやったら、ようやく1個好きなことができるんだよ」と言われたことがあるのですが、1000個我慢しているうちに、おばあちゃんになっちゃうかもしれない。自ら進んで嫌なことをしなくてもいいと思っていますね。

――最新刊の『だから私はメイクする』では、メイクを中心としたおしゃれの話を取り上げています。劇団雌猫のメンバー内でもおしゃれの話はよくしていたのでしょうか?

かん:我々4人の中でも、この企画をはじめるまで話したことがありませんでした。「この化粧品いいよ」という話にはたまになっても、「なぜ私はおしゃれするのか」なんて哲学的なことについては話すことも、聞くこともなかった。だからこそ他の子が何を考えているのかわからない。そして余計不安になって話しづらくなるのだと思います。

ユッケ:話しづらいよね。私は私なりにおしゃれを頑張っているんですけど、「頑張った結果がこれかよ」って思われたくなくて、あまり言えない……。私の見た目が石原さとみだったら「○○の美容室に行って言って、こういうシャンプー使っています! 毎日パックしています!」と言っても、説得力がありますよね。でも私は石原さとみじゃないので、美容に負い目があって、話をしづらいんです。

かん:めっちゃわかる! いまTwitterで「コスメアカウント」が流行っていますけど、顔出しをせずに匿名だから語れることも多いと思います。本当は自分のおしゃれについて語りたいけれど、なかなかみんな機会がないのかもしれません。

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