bizSPA!

8歳で世界が注目、12歳で渡米!天才ドラマーYOYOKAが見た“本物の音楽”の世界

エンタメ
8歳で世界が注目、12歳で渡米!天才ドラマーYOYOKAが見た“本物の音楽”の世界

わずか8歳でYouTubeに投稿したドラムの演奏動画が海外メディアに取り上げられたYOYOKAさんは、9歳で「世界が尊敬する日本人100」に選出。16歳の現在はアメリカ・ロサンゼルスを拠点に、数々の著名ミュージシャンと共演を重ね、世界的ドラマーとして注目を集めている。2022年、12歳のときに家族で渡米した彼女は、どのように夢を現実に変えてきたのか。そして、異国の地で活動する中で見えてきた“挑戦の意味”とは。リモートでのインタビューで、彼女の本音を聞いた。

初対面の仲間たちと作り上げた音楽

『YOYOKAʼs Music Journey』撮影時の様子
『YOYOKAʼs Music Journey』撮影時の様子

2025年7月に公開されたミュージックビデオ『YOYOKAʼs Music Journey』は、YOYOKAさんが、海外でも⾼い評価を得ているインストゥルメンタルバンドjizueと、JiLL-Decoy associationの元ボーカルで、現在はソロシンガーとして活躍するCHIHIROPEとコラボレーションして制作された。

YOYOKAさんのオリジナル3 曲とjizueのオリジナル1 曲、さらにカバー1曲を加えた計5曲と、YOYOKAさんの特別インタビューが収録されている。

「ほとんどの方が初対面だったので最初は不安もありました。でも、収録中も合間の会話もずっと楽しくて。音楽だけでなく、人として信頼し合えた現場でした」と笑顔で振り返る。

このミュージックビデオは、文化・芸術の継承、振興に取り組む一般財団法人NISSHA財団がグローバルに活躍する若⼿アーティストに表現の場を提供する⾳楽配信事業Nissha Music Studioで制作されたもので、第1回の出演アーティストとして選ばれたのがYOYOKAさんだった。

同財団は、自らの可能性を信じてグローバルにチャレンジする彼女のスピリットに共感し、2022年からスポンサーとしてサポートしていた。鈴木順也理事長は、「人々に感動を与える演奏家になることを期待しています」とエールを送る。

世界の“本物”から学ぶ、プロの現場

ドラムを演奏するYOYOKA
Photo by YOSHIMI

このミュージックビデオの中で演奏したオリジナル曲は、自身のファーストアルバムから3曲。「Hello Sunshine」は11歳の頃にギターと鼻歌で作ったデモが原型となっていて、「偶然に思いついた曲で長い間あたためてきたものを、LAのプロデューサーやシンガーと一緒に形にできた、特に思い出のある曲」だという。

また、「YOYO」は、ホイットニー・ヒューストンなどを手がけた名プロデューサー、ナラダ・マイケル・ウォルデンと共作

「彼が書いてくれた歌詞の内容がまさに私のことという感じで、自分のテーマソングのようになっています。ラップの部分は自分のアイデアが採用されたので、一緒に制作できたことが特別な経験になりました」

「Time Travel」は、憧れのJamiroquai(ジャミロクワイ)のドラマー、デリック・マッケンジーが作った曲で、同バンドのメンバーと共に演奏している。

「ファンクは普段あまり叩かないジャンルだけれど、好んで聴いている曲調なので、私の中では大好きな曲。しかも、まさか一緒に演奏できるとは思っていなかったので、すごくうれしかったです」

トップアーティストたちとの共演は、彼女の音楽観を大きく変えた。

どうやって曲を作り上げていくのか、そのプロセスを間近で見られるのは何よりの学びです。ライブでは即興でアレンジが変わることも多く、対応力や瞬発力が求められる。常に吸収している感覚です」

ライブとレコーディングのどちらが好きかという質問には「最近はレコーディングに魅力を感じています」と即答。もっと多くのレコーディングを経験したいという。

アメリカで感じるチャンスとリスク

YOYOKAさん1歳の頃
1歳頃のYOYOKAさん

12歳での渡米を決断した背景には、「本場で学びたい」という強い思いがあった。

「アメリカでは小さなバーやライブハウスでも、世界的なプレイヤーの演奏をゼロ距離で見られる。演奏後に話しかけたら『一緒にやろう』とつながることもあります。そんな出会いが曲づくりのきっかけになることも多いんです」と話す。

移住当初は英語がほとんど話せず、学校の授業は「何を言っているかまったくわからない状態」だったという。

「最初はつらかったけれど、友達や先生と話すうちにだんだん身につきました。まだまだなんですけど」と振り返る。

さらに、生活面での厳しさもある。

「治安が悪いエリアも多く、気軽に一人で歩けない。医療費や物価も高いので、常に安全や健康に気をつけながら生活しています」

それでも「世界中から才能ある人が集まる刺激的な環境」は、彼女にとって何ものにも代えがたい。

憧れのギタリスト・トム・モレロとの出会い

YOYOKAさんのキャリアを語るうえで欠かせないのが、Rage Against the Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)のギタリスト、トム・モレロとの出会いだ。

「家族全員がファンだったので、初めて会えた時は本当に夢のようでした。今では同じギタリストである彼の息子さんとも一緒にセッションしています。カナダでトムさんと、ラッシュのギタリスト、アレックス・ライフソンさんと共演する機会もあって、すごくうれしかったです」と興奮気味に語る。

世界の第一線で活躍するミュージシャンたちと肩を並べる姿は、彼女自身の努力と覚悟の証だ。

次なる挑戦は「仲間」との音楽づくり

今後の目標について尋ねると、「同年代のミュージシャンとのバンドを始めたい」と語った。

「これまではソロ活動のほか、シンガーやバンドのサポート、オリジナルのジャズフュージョンバンド、そして家族バンドでも活動していましたが、同年代の仲間とも新しい音楽を作りたい。自分の“メインバンド”を結成して、ツアーやオリジナル曲制作にも挑戦したいです」と目を輝かせる。

また、5年後の20歳を見据えて、「音楽大学に進学して勉強すると同時に、自分のバンド活動をしながら、より多くのアーティストを支えるドラマーになりたい」と話す。

21歳以上しか出演できないライブハウスも多いアメリカで、彼女のフィールドは今後ますます広がっていくだろう。

若き挑戦者が日本に示す“新しい可能性”

YOYOKA家族バンド『かねあいよよか』
YOYOKAと父母弟の家族バンド“かねあいよよか(Yoyoka Family Band)”

取材の最後、YOYOKAさんの父はこう語った。

日本では、10代前半で海外に挑戦できる制度や支援がほとんどない。だからこそ、彼女の挑戦は個人の夢だけでなく、日本の若い才能の道を拓く試みでもあるんです」

YOYOKAさんの挑戦は、“好き”を原動力に世界へ踏み出す勇気を教えてくれる。夢を現実に変えるには、環境だけではなく、自ら動く力が必要なのだ。

YOYOKA
公式サイト
X
Instagram
YouTube
TikTok

おすすめ記事