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中国発激安EC・TemuとSHEINの真相!なぜこんなに安く売れるのか?

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中国発激安EC・TemuとSHEINの真相!なぜこんなに安く売れるのか?

中国発のECサイト「Temu(テム)」と「SHEIN(シーイン)」は、低価格を武器に日本市場で存在感を増しています。Temuは2023年7月から、SHEINは2020年12月から日本でのサービスを開始し、急拡大していますが、いったいなぜ、圧倒的に安い価格で商品を提供できるのでしょうか? この記事では両社に共通した戦略と独自の路線について解説します。

低価格戦略の共通点

TemuとSHEINは、以下の戦略を駆使することで低価格を実現しています。

・中間コストの削減
・中国の製造拠点
・スケールメリットの活用
・デミニミス・ルールの活用

TemuとSHEINは、卸売業者や小売業者を介さず、メーカーと直接取引を行うことで、中間コストを削減しています。

また、世界中の消費者をターゲットにすることで、大量生産・大量販売によるコスト削減を実現。その製造拠点を、人件費が安く生産効率の高い中国に置くことで安さを追求しています。

米国市場においては「デミニミス・ルール」を活用し送料コストを抑えています。デミニミス・ルールは、800ドル以下の少額輸入品に関税がかからない制度です。

これらの要素に加え、両社は独自のビジネスモデルとサプライチェーン戦略を駆使して、より効率的な販売体制を構築しています。

Temuの特徴とビジネスモデル

Temuの「フルホスティングモデル」は、プラットフォーム自身が販売者となり、サプライヤーから直接商品を仕入れ、価格管理や販売プロセスを一括で管理する仕組みです。独自の価格監査システムを導入し、常に最安値を維持。

また、一般的なECマーケットプレイスでは、出品者が在庫を管理するのに対し、Temuはサプライヤーと連携し、ジャストインタイム方式(必要なときに必要な分だけ生産・発送)を活用することで、過剰在庫を抑制します。

Temuは米国市場を中心に年間4,500億円規模のマーケティング費用を投下しています。テレビCMやSNS広告、インフルエンサーマーケティングを活用するだけでなく、スーパーボウルのような大規模イベントに広告を出稿することで、短期間で認知度を向上させることに成功しました。

SHEINの特徴とビジネスモデル

SHEINは実店舗を持たず、オンライン販売に特化することで店舗運営コストを削減。その分、低価格での販売を可能にしています。

また、AI技術を活用して販売データをリアルタイムで分析しています。広州市周辺の縫製工場と連携し、独自のSCM(サプライチェーン・マネジメント)システムを導入することで、販売状況をリアルタイムで共有し、生産を最適化し小ロットで生産することで、在庫リスクを抑えながら、トレンドに即した商品を提供しています。

SheinはSNSを活用したマーケティングに力を入れていきました。特にZ世代を中心とした若年層をターゲットにし、Instagram、TikTok、YouTubeなどでインフルエンサーマーケティングを展開。口コミによる拡散を促進し、ブランドの認知度を向上させました。

TemuとSHEINの問題点と今後の課題

TemuとSHEINは、世界の市場でさらなる成長を目指していますが、下記の問題が取り沙汰されることも少なくありませんでした。

・品質管理の問題
・サプライチェーンにおける労働環境問題
・環境負荷の増大

さらに追い討ちをかけるのが、アメリカ市場におけるデミニミス・ルールの規制強化の可能性です。

次回は、デミニミス・ルール規制の背景と中国激安ブランドの動向について深掘りしてみます。

奄美大島出身。大阪府在住のライター。 タイと中国の日本人学校に教員として通算8年間勤務。 帰国後、フリーのライターへ。 補習校講師として、オンラインで国語を教えています。

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