米大統領選でトランプ氏が勝利!なぜ「圧勝」だったのか2大要因を解説
インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。
そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、2024年11月5日に行われた米大統領選挙について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。
トランプ氏が選挙人だけでなく総得票数でもリード
世界中の注目が集まる中、米国で大統領選挙が行われた結果、共和党候補のトランプ氏が圧勝した。これまでの世論調査では、女性初の米国大統領を目指す民主党のハリス氏と支持率が拮抗していたにもかかわらず、蓋を開けてみればトランプ氏の圧勝だった。
選挙人の獲得票数でトランプ氏は295人を獲得し、226人のハリス氏に差を付けただけでなく、11月7日時点で総得票数でも7,200万票を超え、ハリス氏を480万票差上回っている。
トランプ氏が勝利した2つの要因
「移民がペットや犬、猫を食べている」「防衛費を増額しないと欧州の同盟国をロシアから守らない」「対立相手に銃口を向けてみよう」などと過激な発言を繰り返し、全世界に波紋を呼んできたトランプ氏が、なぜ勝利したのか。こういった発言を石破首相がすれば、即辞任に追い込まれるだろう。
トランプ氏が勝利した要因は大きく2つある。
まず、トランプ氏の発言は一般的に見れば品格に欠け、頻繁に物議を醸し出すが、難しいことを言わず、どんなことも大きな声でクリアーに発言することから、有権者からすれば非常に理解しやすい。
日本の政治家の中には難しい言葉を使い、主張がわかりにくい人も多いが、トランプ氏の主張は非常に単純で、よくも悪くもわかりやすいという点がある。それによってトランプの主張を聞き入れる人が多く、それが支持拡大につながったといえよう。
もう1つは、米国優先的な考えだ。トランプ氏は「米国の雇用を守る」「米国を再び偉大な国にする」など、他国への配慮を見せず、自国を第一に考えるという強い信念がある。それに多くの米国民が共感し、今回の選挙結果につながった。
第2次トランプ政権はますます自国優先に
そして、これは米国民が内向き化していることを示す。これまで米国は世界の警察官として他国の紛争解決などで主導的な役割を担ってきたが、それは今日の米国民には受け入れられず、まずは米国の経済や雇用、安全を維持することが先で、他国の事には関心がないという意識が米国民の間では広がっているのだ。
そういう状況では、諸外国との協調を訴えるハリス氏より、自国優先を徹底するトランプ氏のほうに支持が集まる。2025年1月に第2次トランプ政権が発足するが、米国はますます内向き化、自国優先を徹底することになるだろう。