「節約じゃない!ソレは迷惑ケチ野郎」豹変した彼に幻滅して結婚を取りやめた話
目標のために節約や倹約をするのは素晴らしいことですが、追求し過ぎると、気づかないうちに周囲の人へ迷惑をかけていることがあるかもしれません。注意されたときは素直に耳を傾けてほしいと嘆くのは、岸谷朱音さん(仮名・26歳)。
交際期間2年を経ていよいよ結婚
朱音さんは、仕事の関係で知り合ったSさん(男性・27歳)と交際期間2年を経て、いよいよ結婚しようという話で盛り上がっていました。お互いの両親をはじめ、友人や職場の人たちからも祝福されつつ、結婚式に向けて準備を開始したのです。
「でも、お互い慎重な性格ということもあり、いまの2人の貯金は将来のために置いておき、まずは結婚式や2人の新居、そして生活資金などを貯金。お金が貯まるまで結婚式はお預けにし、1年後にお互いの貯金額を確認してから式場を予約しようという話になりました」
節約に目覚めSさんが豹変
ところがこの日を境に、もともと無駄遣いをしないSさんが節約に目覚め、豹変してしまいます。もちろん最初は、食事のときは必ず事前にクーポンを探してから行くという、スタンダードな節約でした。
「それが、Sの両親や職場にいる古株の女性社員などに節約方法を聞いてまわるようになり、だんだんとエスカレートしていったのです。ショッピングモールでティッシュ配りをしている人をみつけたら、3回はもらいに行くようになりました」
また、BOXティッシュは購入せず、実家や友人からポケットティッシュをかき集めて使います。さらに、1回では捨てません。何度も折り返して汚れていない部分で拭き、さらに鼻をかんだティッシュは乾かして使うという始末。
一緒にいるのが恥ずかしくなるレベルに
「スーパーへ行けば、魚や肉のパックを入れる無料の透明ビニール袋をロールごと持ち帰る勢いで『新居で使う』と言いはじめるし、だんだんと一緒にいるのが恥ずかしくなっていきました。定食を頼んで紙ナプキンが付いていれば、それも持ち帰ります」
そのうち食事へ行く前は、スマホから使えるデジタルクーポンを検索しまくり、紙のクーポンなどとも比較して徹底計算。出かけるまでに30分以上かかり、結局はスーパーの半額惣菜やお弁当のほうが安いということになったことも、1度や2度ではありません。
「日帰り旅行やドライブへ出かけても、『夜景はタダだから』とか『今日は無料デーだから』とか、露骨に口にするようになっていきました。別に贅沢なデートがしたかったわけではありません。でも、頻繁に無料とかタダとか言われるとムードも壊れてしまいます」
InstagramやTwitterのフォロー・投稿で受けられるサービスも、必ず参加。自分だけならともかく、「お金のためだから」「2人の将来のためだよ」と、朱音さんもキャンペーン参加を半強制されるようになります。
「そのうち、『出かけるとお金がかかるから』と、休みの日も家で過ごすことが多くなりました。たまにデートに誘ってくれたかと思えば、『今日は1人1パックまで卵が100円で買えるから、2人で3回並んで6パック買おう!そして、たまごパーティー!』という内容」
一緒にいると疲れることが多くなって……
Sさんは将来のために頑張ってくれている。「私もどうにか楽しまないと!」と、ポジティブに考えようとする朱里さんでしたが、Sさんと一緒にいると疲れることが多くなっていきました。
「以前はスッキリと片付いていたSのマンションは、出かけるたびに持ち帰るスーパーの透明ビニール袋や飲食店の紙ナプキン、コンビニのおしぼりや割り箸でいっぱい。試供品やポケットティッシュ、人からもらった不用品などに占領されていきました」
何十年前かの使い古した食器や衣類までもらってくるようになり、「タダってスゴイよね!ここ毎月2万円以上は節約できてるよ」と大喜びします。節約した金額には驚いたものの、Sさんと会うことが苦通になった朱里さんは、ついに別れを切り出しました。
もうやめてほしいと懇願
「最初は元のSに戻ってほしいと思い、『Sの節約は、周りの人に迷惑をかけてるし、タダのケチ野郎。透明のビニール袋は使う分だけ取るものだし、卵の売り出しが1人1パックなら、1人が購入できるのは1パック限りのはず。もう、やめてほしい』と懇願したのです」
ところがSさんは、猛反論。「結婚したら家計のことは朱音に任そうと思っていたのに、そんなことを言われたら不安になってしまう。朱音も、両親や職場の古株さんたちをもっと見習って」と言われてしまいます。
「どうしてそこまで節約にハマってしまったのかはわかりませんが、Sとこのまま一緒にいるのは、もう無理だと思いました。別れたくないとも言われましたが、『節約はいいことだけど、貧乏くさいのは嫌』とキッパリ伝えたら、向こうも納得した感じです」
別れて半年以上が過ぎてから、Sさんから謝罪の電話とともに「節約は止めるからヨリを戻してほしい」と懇願された朱音さん。けれど、「もういまさら、好きにはなれない」とお断りしたのだとか。
壊れてしまったものを元に戻すのは、難しいもの。人間の気持ちともなれば、なおさらかもしれません。そうなる前に相手の言葉や気持ちに耳を傾け、自分の言動に問題がないか、ときどき確認しておきたいものですね。
<取材・文/夏川夏実>
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