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転勤拒否に「家庭の事情」が通用せず…“手のひら返し上司”に三行半をつきつけた

コラム

 大企業のように全国に支社や営業所がある場合、長いキャリアの間で地方への異動は避けて通れません。しかし、今の若い世代はそういった会社を敬遠する傾向にあり、近年では社員の地方転勤を廃止するところが急増しています。

転勤

※写真はイメージです(以下同じ)

 例えば、2020年7月にはカルビーが単身赴任の解除、同年10月にはJTBが生活の拠点となる居住登録地でテレワークをベースに働くことができる「ふるさとワーク制度」を導入、2021年9月にはNTTグループが転勤・単身赴任の原則廃止をそれぞれ発表。

 ほかにも全国勤務か、希望エリア内での勤務かを選択できる制度をスタートさせ、新卒採用の応募数が10倍になった損害保険大手のAIG損害保険のようなケースもあります。

 しかし、まだまだ旧態依然とした転勤制度が存在する会社が多いのも事実。故郷の私立大を卒業後、地元に本社のある業務機器メーカーに就職した大畑光司さん(仮名・28歳)は、県外異動はないと聞いていましたが1年半ほど前に隣県の工場への転勤を打診されます。

就職時とは状況が変わっていた

 そこまで遠方という感じはしませんが、車だと3時間はかかる距離。当然、今住んでる場所から通うことは困難です。そもそも県外への異動がないと聞いていたのにいくら会社の決定とはいえ、当然納得はできませんでした。

「就職した時点では地元に愛着があり、できれば離れたくないとの漠然とした理由でした。でも、25歳で結婚したのですが、2歳上の妻はコロナ病棟の担当で県外移動が禁止。それに加え、単身赴任をするにしても病院側からは、家族や友人でも県外在住者とは会うのを極力控えてほしいとのルールもあったんです。つまり、僕が転勤になれば妻に会うことも難しくなる。だから、上司からの転勤を打診された時にはっきりと断ったんです」

断ったのに正式な転勤の辞令が

退職 引き留め

 理由については「家庭の事情」としか伝えませんでしたが、なんと後日、転勤の辞令が正式に出てしまいます。上司は話こそ聞きはしたものの、何も配慮してくれなかったのです。

「もちろん、抗議しましたが『就業規則に社員契約を結んだ時点で転勤に同意したとみなされる』って。実際にその旨が書かれており、県外異動がないっていうのは単なる口約束だったんです。ちゃんと確認しなかったこちらの落ち度ですが、だったら打診の時点で話してくれたらいいじゃないですか。あの時、上司は『わかった』と確かに言ったのに裏切られた気分ですよ。だまし討ちのようなやり方に不信感しかなかったです」

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