世界で一番安全な航空会社はどこ?JALやANAがランクインしないワケ
飛行機ほど、好奇心をかき立てられる乗り物はない。何度も乗っていると、つい見過ごしがちになるが、一歩踏み込んで観察すると、飛行機が謎や不思議の宝庫だということに気づくだろう。あの大きな機体には、数々の疑問が詰め込まれているのである。
なぜ飛行機はいつも1万メートルの高さで飛んでいるのか? 出発時の燃料をあえて満タンにしない理由は? 飛行機にまつわる謎や不思議を網羅した『最新版 飛行機に乗るのがおもしろくなる本』(著・エアライン研究会)より、客室乗務員と仲よくなれる“特別席”などを紹介する。
「晴れた富士山に近づくな!」の意味
「晴れた富士山には近づくな!」これはパイロットの合言葉である。雨や嵐の日ならともかく、晴れた日とは意外だが、晴れた富士山の周囲には巨大な飛行機をもバラバラにしてしまう乱気流が発生するからである。山岳の風下に発生するこの乱気流は山岳波と呼ばれる。とくに晴れて雲のない日は、肉眼でその存在を察知できない。
実際、1966年に、富士山の恐ろしさを知らないイギリスの旅客機が富士山麓で空中分解して墜落する事故が起こっている。もちろん乱気流の発生は富士山だけではない。乱気流は地球上で毎日1万個以上発生しているのだ。
なぜパイロットの合言葉になっているのか?
発生地の代表格は、真夏に発生する入道雲である。その美しい雄姿とは裏腹に雲の中はまさに「危険空域」。中に入ってしまったら最後、飛行機を木っ端微塵にしてしまう可能性がある。
誤って突入しようものなら、飛行機は上下左右に激しく揺られた挙げ句、雹(ひょう)や霰(あられ)の嵐、強烈な音と閃光を放つ雷に見舞われる。しかも最悪の場合は上昇気流と下降気流の激しい乱気流に揺り動かされ、旅客機は空中分解して墜落ということになる。
これを回避するには、もちろん入道雲に突入しないのが一番。とはいえ、肉眼ですべてチェックできるわけではない。そのため、最近では機上装備の気象レーダーが発達し、300キロメートルも離れた入道雲でも発見できるようになっている。