壁紙の裏にゴキブリが…配達員は見た「ゴーストキッチン」の不衛生な実態
「冷蔵庫にナメクジがいる」「料理にコバエが混入したことも」――大阪王将の元従業員が告発した悪質な衛生環境に飲食業界は震撼した。だがこれは氷山の一角にすぎない。飲食業界にはびこる闇を照らす。
デリバリー店の厨房は汚部屋状態
脱ぎ捨てられた靴やごみが散乱する調理場の床に、直置きされた食材の箱。そしてトイレのドアは開けっ放し……。これは、今年春にSNS上で話題となった、都内の「ゴーストキッチン」の内部をとらえた様子だ。
ゴーストキッチンとは、客席を持たないデリバリー専門の飲食店のことで、コロナ禍での飲食店に対する時短営業要請をきっかけに、雨後の筍のごとく出現した。ところが、その衛生状態について、注文する客は知るよしもない。
しかし、フードデリバリー配達員に話を聞くと「この程度の不潔感は、ゴーストキッチンでは驚くほどのことではない」と言う。
「新宿・歌舞伎町あたりにもよくありますが、ゴーストキッチンのなかには、ひとつの店舗で複数の店名を使い分け、しかもワンオペ営業しているケースも多い。そうなると、スタッフには衛生面にまで気を配る余裕などないでしょう。そして何より、客の目もありませんから。私は名前も聞いたこともないような店には絶対に注文したくないです」
空調ダクトはネズミの巣窟、壁紙の裏には…
都内雑居ビルのオーナーも、不潔極まりないゴーストキッチンについて明かす。
「そのゴーストキッチンはアジアンエスニック系で、2020年秋ごろから1年ほど入居していたのですが、退去後の物件はひどいありさまでした。油が滴る空調ダクトのなかはネズミの巣窟になっていて、壁紙の裏にはゴキブリがびっしり。これまでさまざまな飲食店に物件を貸しましたが、こんなことは初めてです。
通常はペストコントロール(害虫害獣対策)は絶対で、専門業者に委託するのが普通ですが、費用をケチった結果でしょう。トイレの壁には棚を増設した痕跡がありました。おそらく食品や使い捨て容器の保管庫にしていたんだと思います」
実態が目に見えないことも不安だが、見えるのも怖い。気味の悪さがまさにゴースト(幽霊)だ。