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オタフクお好みソースに「創業100年の歴史」と「広島と関西のソース文化」を聞いた

ビジネス

 今やコロナの向い風もあり、さまざまな企業が大打撃を受けている。企業の寿命は30年といわれることも多いが、東京商工リサーチによると、2022年に創業100年を迎える企業は1334件あるという

オタフク

オタフクお好みソースがたっぷりかかった広島お好み焼き

 同じく2022年に100周年を迎えるオタフクソース株式会社のお好みソースは、家庭で使う調味料として、多くの人にとって馴染み深いものではないだろうか。今回はオタフクホールディングス株式会社 広報部部長 大内康隆氏にこれまでの歩みや、広島と関西でソースの味は異なるのかなど取材を試みた。

原爆投下で家や工場が全焼する大打撃

 2022年11月26日「オタフク お好みソース」で有名なオタフクソース株式会社は100周年を迎える。これまでの100年の歴史のなかで、忘れてはならないのは広島の原爆投下だろう。

「1922年、創業者の佐々木清一が広島市横川で醤油類の卸と酒の小売業『佐々木商店』を創業しました。創業者がものつくりから始めたいということで、醸造酢を作り始めましたが、1945年に原子爆弾投下があり、家も工場も全焼しました。それでも翌1946年に広島市祇園町長束の酒造蔵を借り、醸造酢の製造を再開したんです」

 ソース作りを始めたきっかけはどのようなものだったのか?

「もう一度ものづくりするときに、『これからは洋食の時代になる』ということでソース作りをはじめたのですが、ソースメーカーがすでに世の中にたくさんあり、私たちは最後発に近く、お店になかなかお取り扱っていただけませんでした

お好み焼き屋の悩みを解消するために

オタフク

広島県広島市に構えるオタフクソース本社

「そこで、広島で徐々に増えだしたお好み焼き店様にうかがうことにしたんです。リアカーを引いて、屋台を組み立てて毎日商売しているお店にも飛び込んで、自分たちが作ったウスターソースを売り込んでいました」

 現在のオタフクお好みソースはとろみのある印象だが、当初はサラサラのウスターソースしかなかった。

「売り込んでいるときにお好み焼き店様から『ウスターソースは、お好み焼きにかけると、そのまま垂れてしまい、熱い鉄板に落ちると焦げてしまう』というお困りの声をうかがいました。またお店によってはケチャップを混ぜていたり、玉ねぎやにんじんをすりおろして、お好み焼きに合うソースを作ったりしていたようですが、それは大変なので、私たちが“お客様のお困りごとを解決したい”という思いから商品開発をスタートさせました」

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