本当に男性も育休が取れる?法改正で「育児休業」の何が変わるのかイチから解説
性別にかかわらず仕事と育児の両立を目指すため、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が改正され、令和4年4月1日、10月1日と段階的に施行されることは、多くのメディアでも報道されているとおりです。
男性の育児休業取得率は年々上昇していますが、令和2年度で12.65%と、女性(81.6%)に比べ大きな差があります。希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できる社会を実現するためには、社会全体で男性の育児休業取得を促進することが求められており、今回の法改正はまさにそれが最大の目的です。
今日はその改正の内容を簡単に説明しながら、特定社会保険労務士の筆者が男性の皆さんの育児休業取得についてお話をしたいと思います。
育児法、どのような改正か?
それでは具体的な改正の内容を見てみましょう。
【(1)令和4年4月1日~】
育児休業を取得しやすい雇用環境を整備すること(研修の実施や相談窓口の設置等)、妊娠・出産の申出をした労働者(本人または配偶者)に対して個別に制度の周知・意向の確認を行うことなどが事業主の義務となりました。また、これまで勤続年数1年未満の有期雇用労働者は育児・介護休業を取得することができませんでしたが、この要件は撤廃されました(引き続き労使協定によって除外することは可能)。
【(2)令和4年10月1日~】
10月1日からの改正の最も大きなポイントは、産後8週間以内に4週まで2回に分割して取得可能な「産後パパ育休」の創設です。産後パパ育休の期間に労働者が希望し会社が認める場合は、就業が可能です(就業日数等には上限あり)。
また、育児休業は男女問わず子供が最大2歳になるまで取得できることに変わりはありませんが、より柔軟に取得できるような仕組みになります。女性のみならず男性の育児休業取得が進むよう、国が懸命に工夫をしていることが伝わってきます。
本当に休みやすくなるの?
法律は整備されたとはいえ、男性の育児休業取得についてはなかなか理解が進まず、ハードルが高いのが現状です。
令和2年度「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省委託事業)によると、「あなたは過去5年間に、勤務先で育児休業等に関するハラスメントまたは不利益取扱いを受けたことがありますか」という男性労働者への問いに対し、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は26.2%でした。
受けたハラスメントの上位は、上司や同僚からの育児休業等の制度利用を阻害するような言動です(「男のくせに育児休業なんて」「そんなことでは昇進できないよ」など)。