苦手意識を克服できる「数学マンガ」4選。数学オリンピックの熱い世界も
3月14日は“数学の日”。なぜかお分かりでしょうか?「3.141592..」と言えばピンとくるかもしれません。そう、円周率(π)の近似値3.14に由来しています。
「数学の日」と聞いても、おそらく多くの人が数学に対して苦手意識を持っているのではないでしょうか。しかしこのデジタル社会において、技術を支える基礎となる数学的な思考力こそが、今後のビジネスや科学の発展を担うと言っても過言ではないはず。まずはマンガを通して「数学」に触れてみませんか?
今回は、2022年3月現在、国内最大級の品揃えである累計約134万冊のマンガや書籍を配信する、総合電子書籍ストア「ブックライブ」より、「数学」に親しみを持てるおすすめのマンガ4作品をピックアップしてご紹介します。
数学の本当の楽しさを味わう青春コメディ
『数字であそぼ。』
作者名 :絹田村子
出版社:小学館
圧倒的な記憶力で幼いころから勉強で苦労したことがなく、京都の名門・吉田大学理学部に合格した秀才・横辺(よこべ)。ノーベル物理学賞を目指して大学の勉強に励もうと意気込みますが、理学部最初の授業の“微分積分”で内容を全く理解できず、記憶力だけでは太刀打ちできない大学の数学に、人生初の挫折を味わいます。
その後、学校へ行くことができなくなり、下宿に2年間引き込もった横辺でしたが、同じく留年仲間の北方と出会い、改めて数学と向き合うことを決意します。
大学の数学をテーマにしていると聞くとハードルが高い印象を受けるかもしれませんが、「方程式で移項すると符号が変わるはなぜ?」「ベクトルって矢印のことじゃないの?」といった、中学や高校レベルの数学を解説してくれる回もあるので、当時数学が苦手だった人にもとっつきやすいマンガです。数学が得意な人も、苦手な人も「今からちょっと数学をやり直してみようかな」という気持ちになれるはず。
しかし、このマンガの一番の見どころは、そうした数学の理論や定理の解説よりも「分からなかったことを理解すること」「気になる物事を突き詰めること」の楽しさを描いている点でしょう。ただ単位や卒業のためだけではなく、数学を「理解するため」に、誰よりも真摯に勉強に向き合う横辺は苦しそうでもあり、それ以上に楽しそうにも見えます。
数字を見るのが少し楽しくなる成長物語
『はじめアルゴリズム』
作者名 :三原和人
出版社:講談社
「数学にとって重要なものは何か?」と聞かれたら、何を思い浮かべますか? 計算能力? 論理的思考力? 多くの人が、直感的にそういったワードを思い浮かべると思いますが、この『はじめアルゴリズム』では、数学にとって重要なものを「情緒」と位置付けています。「美しいものを美しいと感じるこころの目」が、世界に対する「問い」を持つことに繋がっていくというわけです。
主人公のハジメは、自然豊かな島で暮らす小学生。ハジメは一人で、雲の動きや水の波紋の伝わりといった自然界のあらゆるものを、彼独自の記号や文字で表すことに熱中していました。ある日、島を訪れた数学者・内田にその才能を見いだされ、内田の説得と、「今まで見たことのない世界を見たい」という強い思いから、より高度な数学を学ぶために京都に移ります。
数学の本質は、身近な自然や我々のいるこの世界、ひいては宇宙に対する「なぜ?」という問いかけである、ということをテーマにした本作。どうしても小・中学生時代に宿題で出た計算ドリルの経験から、「数学で重要なのは計算能力」という印象を抱きがちですが、『はじめアルゴリズム』を読むとそのイメージが変わって、数学がもっと身近なものに感じられるはずです