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井之脇海、俳優の先輩・香川照之に勧められた大学進学「行ってよかった」

暮らし

 子役時代に出演した黒沢清監督の『トウキョウソナタ』で、キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞などの賞に輝き、連続テレビ小説『ひよっこ』、大河ドラマ『おんな城主 直虎』、ドラマ『義母と娘のブルース』『俺の家の話』など多くの作品で存在感を見せている俳優の井之脇海さん(25)

井之脇海

井之脇海さん

 現在、初主演映画『ミュジコフィリア』が公開中です。本作は、『神童』『マエストロ!』などで知られる、さそうあきらさんの漫画を原作にした音楽ドラマで、井之脇さんは芸術大学に入学した、ピアノに天賦の才能を持つ青年・朔を演じました。

「やってやるぞ!」という気持ちで臨んだという初主演作について、また井之脇さん自身が日本大学藝術学部映画学科で学んだことなどを聞きました。

映画初主演に「ようやく来たな」

ミュジコフィリア

(C) 2021 musicophilia film partners (C) さそうあきら/双葉社

――意外なことに映画初主演なんですね。オファーがあったときは?

井之脇海(以下、井之脇):「ようやく来たな」という気持ちが強かったです。役者をやっているなかで、続けていればいつか主演作を迎えるときがくるだろう、挑戦しなければならないだろうと思ってきました。

 ピアノを弾く青年役で初主演のオファーをいただいて、やっぱり僕のターニングポイントにはピアノがついてくるんだなと思いました(笑)。もちろん不安もありましたし、いろんな感情がぐちゃぐちゃになっていました。

――井之脇さんとピアノといえば、ピアノの才能に長けた少年を演じた『トウキョウソナタ』(’08)がやはり浮かびます。代表作があることは、名誉であると同時に呪縛でもあるかもしれませんね。

井之脇:『トウキョウソナタ』の時は何も知らないがゆえのまっすぐさと、作品にも本当に恵まれました。客観的に見ても、“少年・井之脇海”は、良い芝居してるなと思います(笑)。『トウキョウソナタ』の自分を超えたいという思いがずっとありました。今回、そうした気持ちに対する大きなチャンスをいただいたなと。「やってやるぞ!」という気持ちは、もちろんありました。

好きなものに邁進する喜びに共感

ミュジコフィリア

――朔を演じるうえで、大切にした部分を教えてください。

井之脇:朔は音楽と距離を置いていたところから結局、音楽に巻き込まれて、音楽を通して人とぶつかり、成長していく。その様(さま)に共感するところが多かったです。

 僕も、反発こそしていませんが、映画がすごく好きで、のめり込んで友達と感想でぶつかり合ったり、撮影現場でも、良いものを作るために人とぶつかったりしていくことがあります。そうしたところがリンクするなと。なので、好きなものに邁進する喜びを大切にしようと思いました。

――井之脇さんは、身近に音楽関係の方も多いです(母方の祖父母が箏の生田流師範、母方のおじがオーケストラ奏者)。そういった面で音楽ものをやることへのプレッシャーはありませんでしたか?

井之脇:そこは考えていなかったです。でも言われてみると確かに怖いですね。観たときにどう思われるかなと、今ちょっとヒヤっとしました(笑)。でも、自信を持って「観てください」と言える作品に仕上がっていると思います。音楽シーンも自分自身でこだわってやりましたし、胸を張れます。

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