女装のオカルト研究家が分析する“陰謀論”「信じてしまう人は繋がっている」
家族が「デマ」にハマっておかしくなってしまったという悲痛な声が溢れている。新型コロナウイルスやワクチンについて、ネット上で根拠の無いような誤情報が拡散されたことで、分断が起きて社会問題化している。どのようにしてそんな扇動的な「デマ」を信じる人になってしまうのか、カルト宗教やスピリチュアル思想の研究などを軸に、その源流を探る書籍がこのほど出版された。
『あなたを陰謀論者にする言葉』(フォレスト2545新書)を10月に出版した雨宮純さん(@caffelover)は、都内在住のエンジニアであり、オカルト研究家、ネットウォッチャーで、“週末女装男子”と様々な顔を持つ気鋭のライターだ。
前後編にわたるインタビューで、今回の出版の経緯や“陰謀論”が蔓延する背景などを分析してもらった。
当初は“陰謀論”がテーマではなかった
――出版おめでとうございます。初めての書籍ということですが、情報量が凄まじく、現代の問題に向かっての繋がりを、順を追って解読していくようで読み易かったです。
雨宮純(以下、雨宮):ありがとうございます。当初は“陰謀論”がメインテーマではなくて、自分が好きだったオカルトから、スピリチュアル、自己啓発など研究してきたことをベースに“怪しいもの”を集約するように書きたかったんです。
そこから今に至り、最新のトピックとして、ネットに蔓延しているいわゆる“陰謀論”を取り上げて、最終的にはそれをタイトルにつけるまでになりました。そのあたりはセールスのプロである編集さんの判断に任せたのですが、おかげさまで重版も決まって、ご好評をいただいているようです。
自腹で参考書を100冊程度は購入
――どのような経緯で出版することになったのでしょう。
雨宮:ことしの春ごろにツイッターで編集者の方に声をかけていただきました。ネット記事で、悪徳商法や洗脳をともなう“事業家集団”の潜入ルポを自分が書いたことから注目していただいたようです。
もともとの趣味もあって、陰謀論に繋がるような考え方について興味はあったのですが、改めて参考書籍を合計100冊程度は自腹で購入し、夜な夜な読んで勉強し直して書いての繰り返しでした。
カウンターカルチャー、ニューエイジや新宗教、精神世界など、目次になるトピックを編集さん側には事前に送って、zoomで打ち合わせをしながら書いて、8月には脱稿しました。それまではネットに何本か記事を書けたらいいなと思うことはあっても、出版をするようになるまで想像はしていませんでしたね。すごいことになったなと。