楽天、赤字654億円の中間決算。収入は盤石でもモバイルへの投資がハンパない
9月11日に大規模な通信障害が発生したという報道があった楽天モバイル。リリースによると2021年8月時点で500万契約を突破していたようです。楽天グループは2020年4月より本格的に携帯事業に参入したのち、商用化から1年で390万契約を記録し、その後も伸び続けました。
楽天といえば、もとはECで成長した企業ですが、旅行や金融、証券など多角経営をしており、具体的に何で稼いでいる企業なのか把握しにくい印象があります。そこで決算資料から各事業の収益を比較し、楽天グループの収入源を調べてみたいと思います。
EC展開、プロ野球参入…楽天グループの歴史
楽天の歴史は1997年に開設したECサイト「楽天市場」から始まります。企業や小売店が自らネットを駆使して販売しようとすると、サーバーやIT担当者を設置しなければなりません。が、ECサイトであれば決められたフォーマットで商品を紹介すれば良く、このツボを押さえた楽天は事業者のニーズを掴み大きく成長しました。
2000年に店頭市場(現:JASDAQ)に上場し、2002年には取り扱いが6000店舗を突破しています。そして2004年には「東北楽天ゴールデンイーグルス」としてプロ野球界に参入、2005年にカード会社を買収しカード事業も開始。台湾を通じて初の海外進出を果たしたのが2008年で、その3年後の2011年に楽天市場の年間流通総額が1兆円を突破しました。
多角経営は当初から進めており、2003年にはネット証券会社を買収して証券業に参入、2009年にネット銀行を買収して銀行業にも参入しました。大企業が多角経営を始める際は新たな企業を設立して新事業を始める例が見られますが、楽天の場合は既存の企業を買収して拡大させるのが特徴のようです。
楽天グループの構成と全体売上高は?
グループ全体は「楽天グループ(株)」を親会社とする構成となっており、主な子会社には携帯事業の「楽天モバイル(株)」や金融・証券事業を扱う「楽天カード(株)」があります。そして「楽天カードの傘下に「楽天銀行(株)、楽天証券(株)」が入っている構造です。楽天市場の事業主体が気になるところですが、同事業は「楽天グループ」が直接経営しているようです。
各事業の構成と今年度第2四半期累計(1~6月)の売上高は以下の通りです。ちなみにセグメント間取引調整後の全体売上高は7936億円となっています。
インターネットサービス(楽天市場を中心としたEC事業):4628億円
フィンテック(クレジットカード、証券事業):3047億円
モバイル(携帯事業):1072億円
これ以降、それぞれの事業について紹介いたします。