コロナで赤字転落の「銀座ルノアール」。巻き返し策を幹部に聞いた
誰もがよく利用する喫茶店。待ち合わせに使ったり、仕事や勉強に使ったりと用途はさまざまだろう。だがその形態もコロナによって変わりつつある。日本フードサービス協会加盟調査員がまとめた喫茶業態の7月度売上は、前年同月比5.8%増。多くの店が営業を再開したものの、コロナ前の2019年対比では27.9%減と復活にはまだ遠い。
1964年に創業した老舗の喫茶店チェーン「銀座ルノアール」はテレワーク・リモートワーク支援のための「ビジネスブース」を開設し始めている。ホテルのロビーのような高級感のある店内で、都内だと知名度も高い銀座ルノアールだが2020年の決算では赤字転落した。
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株式会社銀座ルノアール営業部部長・小林総一郎氏に、新しいサービスでもあるビジネスブースや今後の展開について聞いてみた。
喫茶店内にビジネスブースを設置したワケ
銀座ルノアールのビジネスブースは2020年12月、巣鴨駅前店(豊島区)に初めて設置された。今回取材に訪れた西日暮里第一店は2021年8月14日にオープンした。既存店舗内の脇に設置しているようだが、どのようにして新たに作ったのだろうか。
「コロナ禍でリモートワークが増えた常連様やビジネスマンから、『こもって仕事ができる場所が欲しい』という声を受けていました。そして、2020年夏くらいから個室スペースを巣鴨駅前店に設置したところ、反響が多く、良い滑り出しができた。西日暮里第一店は、もともと貸会議室が2部屋あったのですが、そのうちのひとつをビジネスブースに改装しました」
銀座ルノアールは以前から貸会議室サービスを展開。その部屋の一角を改装したのがビジネスブースだという。どのようなお客さんが利用するのかと、小林氏に聞いたところ「店舗によって違うのですが、最初の目論見通りで、パソコンでお仕事されるビジネスマンが多いです」とのこと。
個室ブースの価格は「ファンに向けて」
テレワーカー向けの個室ブースも増えてきたが、値段設定などは他社とどう差別化しているのか。
「もちろんいろいろな会社の価格帯を参考にしました。弊社には1日に2~3回利用してくださるルノアールファンのお客様がいらっしゃいます。そのような方たちが満足していただけるためにどのような価格帯がよいかなと考えて、今の1時間500円の値段に落ち着きました」
また防犯やセキュリティについても、当初はスタッフが鍵を閉めに行く状態だったが、「6月からブースごとに個別の鍵を取りつけて、お貸しています。まだ全店舗になく、2021年中の完全鍵の交換を目指しています」と対応中だとか。
「なかには長期で借りたいお客様もいて、2日間部屋を使って荷物を置きっぱなしにし、翌日手ぶらで来たいと言う方もいらっしゃいますが、セキュリティを考えてお断りしています」