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飲食店100軒以上のコロナ対策を点検したスタッフが証言「感染対策の決め手は」

ビジネス

 東京オリンピックの開催期間中に東京都では新型コロナウイルス感染者が5000人超えました。政府は五輪と感染者増大は関連性がないと説明しますが、世界最大のスポーツイベントに浮かれて繁華街では人流が増加。非常事態宣言にもかかわらず、酒類を提供する店で飛沫を飛ばしながら騒いでいる客の様子も報道されました。

通勤 マスク

※画像はイメージです

 これに対して東京都では深夜営業や酒を提供したりする店を個別に訪問して、要請に応じるように働きかけていますが、堂々と酒類を提供する飲食店は後を絶ちません。

「要請に従う真面目な店主もいるのに……」と、東京都から要請された点検スタッフの稲葉大輔さん(仮名・30歳)は複雑な気持ちでいっぱいです。点検ではどのような問題が浮き彫りにされたのでしょう。

スタッフが飲食店に出向いて点検

点検

東京都から要請された点検スタッフの稲葉大輔さん

 稲葉さんの飲食店点検の期間は2021年6月の半ばから約1か月。派遣会社を通じて調査会社に採用されました。研修には約50人が集まったそうです

「点検は東京都が掲げる『徹底点検 TOKYOサポート プロジェクト』の一環です。これは希望する飲食店のオーナーにネットや書類などで研修を行い、感染対策のリーダーとして育成することが目的です。

 研修が終了した飲食店が『点検依頼』を東京都に申請すると、東京都の職員や委託会社のスタッフが店舗に出向いて点検します。ノートパッドを使って撮影も行い、点検項目は大きく5つ。満点の店舗にはバックがブルーの虹のステッカー『感染防止徹底宣言ステッカー』が送られます。満点になると協力金支給の対象になるため、店主らは必死に感染防止を行っていると感じました」

週5日、トータルで100店舗以上を点検

点検

東京都のホームページからダウンロードしたポスター(稲葉さんが点検先の店舗に配布したものと同じ)

 調査会社の点検チームのスタッフとして、稲葉さんは東京23区と都下(西東京や八王子、町田など)の調査にあたったそうです。あえて「調査」という言葉を使ったのは、調査会社から「酒類の提供をしている店を見つけたら報告する」ことも含まれたからです。

週5日、1日6~8店舗、トータル100店舗以上を点検しました。点検は手指の消毒、マスク着用、間隔(アクリル板設置など)、換気、対策リーダーとしての心構えの5項目です。東京都のホームページからダウンロードしたポスターを店内に貼っていることもチェック項目に入っています」

 点検時期がちょうどまん延防止と非常事態宣言の時期と被ったため、「休業中の店を点検することもあった」と稲葉さん。満点と不合格の違いはどこにあったのでしょう。

「これはあくまでも僕個人の感触ですが、個人で経営する店舗は顧客の信用の確保や協力金をもらう目的のために、感染対策が徹底していた店舗が多かったように思えます。特にカラオケを置いているスナックでは、空気清浄機や二酸化炭素の濃度測定器を設置するなど、感染対策がお客さんにも見えるようなアピールぶりでした」

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