ネットで買える「ED(勃起不全)治療薬」は超危険!救急搬送された例も
「映画を観るか、腰を振るか」――。いささか品のない表現だが、正規のED(勃起不全)治療薬1錠分の価格は封切映画のチケット代に匹敵するといわれる。両者を並べて、チケット代を高いとみるか、薬代を高いとみるかは個人の価値観による。
無論、一口にED治療薬の価格といっても、銘柄や用量によって違いがあるので、ひとまとめにはできない。とはいえ、1錠の価格を2000円近い映画代と比べられると、ED治療薬を割高だと感じる人が多いのではないだろうか。
非正規のED治療薬の存在
「いや個人輸入の通販で買えばもっと安い!」と反論する読者もいるだろう。インターネットを介した個人輸入の通販品は確かに安い。しかし、それには理由がある。この記事の初めに「正規のED治療薬」と表現した。結論を先に書くと、通販品はほとんどが正規品とはいえない。だから安いのだ。
医薬品の個人輸入は国が認めたビジネスの一つである。それ自体は違法行為ではない。ただし、時に、扱われた製品が健康被害を引き起こし、命に関わる事態を招くこともある。とすれば問題は別だ。金を惜しんで命を失ってはシャレにならない。
ED治療薬がコンビニで買えないワケ
ED治療薬はその名の通り、EDの治療における第一選択肢とされている。要するに、もっとも効き目のある治療法であるというお墨付きを得ているのだ。たいていは錠剤(近年はシートタイプも登場)で、それを服用するだけだから手軽で安全な方法といえる。国内では現在、3種類の正規品と、それらの特許を利用した複数のジェネリック品が流通している。
近年は法改正によって、コンビニエンスストアで買える薬の種類が増えてきた。しかし、胃薬やかぜ薬などと違い、ED治療薬はコンビニでは決して買えない。強壮ドリンクやコンドームなどの“仲間”は棚に並んでいる。それなのに、なぜ買えないのか。
それはED治療薬が医療用医薬品に分類されているからだ。この種の薬を入手するには原則的に医師の診察を受け、処方してもらわねばならない。しかし、診察のために時間を割いて、わざわざ病院や診療所に足を運ぶのは煩わしい。それ以前に診察を受けるのが恥ずかしい。そんな人たちに狙いを定めているのがネットにあふれる通販品の数々だ。