300円のタオルも買えない!汚部屋育ちの「東大生」が抱える意外な悩み
漫画『汚部屋そだちの東大生』(ぶんか社)の作者、ハミ山クリニカさん(@kllinika)は、現役で芸大に合格して、東大にも合格したすごい経歴の持ち主だ。
1メートルにも及ぶゴミの地層が出来た部屋で、束縛する美しい母と二人暮らしを描いた半自伝的な漫画は、壮絶すぎてビックリするシーンがたっぷりある。
母から逃れて、独立したハミ山さんの全2回のオンラインインタビュー。前半では汚部屋での学習方法を聞いたが、後半では今現在の困っていること、どうやって独立することができたのか、そして新社会人への非常に役立つアドバイスをもらった。
冷蔵庫のゴミは強烈な臭い
――部屋のゴミが地層になって、新聞の上に寝ているうちに、顔に文字が転写されてしまうなど、漫画ではユニークな場面がありました。
ハミ山クリニカ(以下、ハミ山):夏場は顔に新聞の跡が付いてることがしょっちゅうありました。汚部屋のゴミの相当量が新聞だったので、新聞をとっていたのも悪かったと思います。紙なのでダニが湧くし、朝刊夕刊と1日に2回も分厚いのが毎日来ますからね。もっとペラペラだったら良かったのに(笑)。
――ゴミに塞がれて何年も開けられなかった冷蔵庫の中身が大変なことになってましたが、それでも必死にゴミを片付けているシーンも印象的ですよね。
ハミ山:あれはショックでいまだに覚えています。怖い話なんですけど、動物性のタンパク質なら事故物件のような腐敗臭だったと思いますが、野菜とか果物なので、イヤ〜な甘い臭いがするんです。
――家の中のゴミを少なくしようと、ゴミ袋16個も捨てたり、努力されてましたよね?
ハミ山:まあ、無駄な努力ではありましたね。2人にしては家が広かったので、物置にする部屋ができちゃうっていうのがよくなかったです。もしワンルームだったら、ゴミがすぐに天井に行ってダメじゃないですか。容量が大きかったので、どんどんゴミが多くなってしまいました。
初任給で何か買う発想がなかった
――大学生になっても自分の家の異常さに気がついてなかったと聞きましたが、「うちはおかしい」と気がついたのは、何がきっかけだったんですか?
ハミ山:最初に変だなと思ったのは、社会人になってからでした。みんな「初任給で何買う?」って話をしていて「何買うってなに?」ってなったんです。初任給は、全部親に渡すっていう発想しかなかったので。
――家を出ることを考え始めた時に、行政などに相談にいかれたそうですね?
ハミ山:警察の生活安全課に行ったら、担当者の方が「親子なんだから最後は抱きしめあって仲直りできるよ」って、正しく聞こえるようなことを言うんです。友人でもそういった反応をする人はいましたが、こちらとしては、ちょっと難しいですと言って帰ってきた。ただ、別の担当者の方は違う反応だったので、個人差があるものだと思います。
――行政はどうでしたか?
ハミ山:行政では、よくあることなのか担当者も慣れていましたね。淡々と手続きをしてくれました。