英語で「ナイス」はホメ言葉ではない。正しく祝福するには
ゴルフ場で「ナイスショット」、サッカー観戦で「ナイスゴール」など、日本語でも「ナイス」はよく使われますが、実は決してそれほどの褒め言葉ではないのをご存知ですか?
「ナイス」は「悪くない」程度が本当の意味。ですから、会社で同僚が何か大きな契約を結んできて、「ナイスだね!」と言いたい時、That’s nice.と口にしたら、同僚をねぎらう気持ちや、一緒に祝って嬉しく思う気持ちは伝わりません。
【第94回】ナイスはどれくらい良い?
逆に、口調次第では皮肉に「良かったね」と言ったり、相手の話をきちんと聞かずに「あ、そうなんだ、良かったね」とコメントをしているようにも聞こえてしまいます。
英語をあまり得意としないフランス語スピーカーは、フランス語の表現に引きずられて、That’s nice.とよく口にすることがありますが、それに慣れていない英語スピーカーは、その表現に戸惑うことも少なくありません。
本当に「良い」という印象を伝えたいのであれば、少なくてもGoodは使いたいところ。That is good news.「それは良い知らせだね」と言えば、Niceよりは心がこもります。とはいえ、100点満点の試験を例に出せば、Goodは80点から90点でしょうか。
十分に合格点ですし、苦手教科で80点以上を取れれば好結果かもしれません。しかし、決して素晴らしいとは言えない結果です。
もっとプラスな印象を与える表現は…
もっとプラスの印象を与えたいのであれば、Great、Amazing、Awesome、Unbelievableなどさまざまな形容詞があります。これらは比較的アメリカ英語で使われる、とてもカジュアルな表現です。Fantasticなどだと、少しカジュアルさが押さえられるでしょう。Splendidなど、少し格調の高い表現はイギリスの英語でより使われる傾向があります。
また、上記のような表現は具体性を持たせずに「良い」という意味を持つ単語です。「良いプレゼン」をGood presentationというのではなく、Well-delivered presentationと言えば、それだけで少し追加の情報が加わりますし、口先だけで「良い」と言っているわけではないと伝わります。
Well-deliveredはプレゼンのデリバリー(発表の仕方)が良かったということ。Well-executedも使われます。特にうまく行ったプロジェクトなどは、Well-executedです。同じように、「良かったね」というときにThat’s nice.ではなく、Well done!と言えば、「よくやった!」というねぎらいの気持ちも伝わります。Well doneはステーキの焼き具合の表現で聞き慣れている表現ですが、このようにビジネスの場でも使うことができます。
Niceは決して間違った英語ではないですが、日本語で使うときとはニュアンスが違うことを理解しておくと、ミスコミュニケーションが少なくなるでしょう。
<TEXT/同時通訳者 木内裕也>