唐橋ユミさんに聞いた「年代や性別が違う相手」との会話術
コミュニケーションの基本と言われる「共感」。『サンデーモーニング』をはじめ、フリーアナウンサーとして活躍する唐橋ユミさん。著書『会話は共感力が9割 気持ちが楽になるコミュニケーションの教科書』(徳間書店)では、20年以上のキャリアで培ってきた豊富な会話術が、唐橋さんが優しく語りかけるように綴られています。
そんな唐橋さんが、若い頃の自分に伝えたかったコミュニケーション方法があるそうです。
共感しすぎたら「息苦しくなることも」
――著書は、コミュニケーションにおける「共感力」をテーマにされています。編集の方との打ち合わせでは、どんなことを話しましたか。
唐橋ユミ(以下、唐橋):「共感」をテーマにしたときに、共感しすぎると、息苦しくなったり、人と会うのに疲れちゃったりするんじゃないか、という話をしました。人の気持ちを想像できる人って優しくて素敵な方だと思うんですが、それこそ震災のときには自分の心が壊れてしまった人もいました。
共感することと、「同調」することは違うから、他人の気持ちを受け入れすぎると、苦しくなってしまうんですよね。なので、人の気持ちを受け入れなくても、受け止める。受け止めたうえで、その人の気持ちを想像することができれば、気持ちは壊れないのではないか、と思うのです。
――自分の気持ちを保ちながら、相手と共感するということですね。
唐橋:そうですね。あとは、共感しようと相手の話に合わせすぎても、話が広がらないので、自分の思ったことは正直に伝えるというのを心がけています。それに、共感できる話でも相手の感情を100%理解しいてるかというと、そうは言い切れませんよね。なので、「私はこう思いますけど、あなたの気持ちってこういうことですか?」と、想像しながら問いかけています。
「うるさい感じのおばちゃんになってます(笑)」
――ときには、共感ではなく、反論したり、怒ったりすることもありますか?
唐橋:あります、あります。現場のスタッフと意見を交わすときに「私はこう思います」と伝えたり、挨拶の声が小さい人にはこちらから声を出して挨拶をするようにします。20代の子がチーフへの連絡で「了解です」と送っていて、「そういうときは『承知しました」のほうがいいね」とか。すごいうるさい感じのおばちゃんになってます(笑)。ダイレクトに言わないと伝わらない人と、言葉尻でわかってくれる人を区別しているつもりですが。
――それは、唐橋さん自身も注意された経験からなのでしょうか。
唐橋:そうですね。挨拶は特に言われました。「なんで下向いて挨拶してるんだ」「もっと元気な声出せよー」とか。もっと自分を客観的に見て、今の態度はダメだ、自分を出しすぎた、引きすぎたとか、俯瞰して考えています。でも、何かあれば私も注意してほしいと思っています(笑)。