副業の会社に「役員として誘われた」北大院卒29歳がIT企業役員になるまで
採用活動で、どれだけ経歴書を見たり面談を繰り返したりしても、結局は一緒に仕事をしてみないと人となりはわからないもの。
移住支援事業を行うベンチャー企業・株式会社FromToで働く、角田尭史さん(すみだ たかし・29歳)はもともと北海道大学、同大学院で土木工学を学んだ土木建築技術者でした。
今の会社にはボランティアや副業として携わった後、役員として入社。「将来やりたいことがなかった」という角田さんは、どのようにして本業以外のキャリアを生かし現職に出会えたのでしょうか。お話を伺いました。
就職するものの人間関係に悩み休職
――角田さんは副業がきっかけで転職されたんですよね。そもそもどのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。
角田尭史(以下、角田):キャリアについて真剣に考えたのは、実はここ2〜3年です。それまでは、「周りと同じキャリアを歩む」ことに対して何の疑いも持っていませんでした(笑)。
北海道大学大学院で土木工学を学んだあと、東京にある大手重工メーカーに土木建築技術者として2016年に新卒入社。重工業に興味があったというよりは、「学んできたことを活かそう」という、なんとなくの理由です。
発電所の設計や施工などにも携わり、世の中の役に立つ立派な仕事をしているという認識はあったものの、“やりたい仕事か”というとそうではなくて。
ずっとモヤモヤとした気持ちで働いていました。さらに入社して1年後、職場の人間関係で失敗してしまい、精神的に病んで少しの間会社を休むことに。復帰したとしてもこの仕事に熱量はない、けれど他にやりたいことも見つからない。将来について模索する毎日が続きました。
キャリアチェンジを決めたきっかけ
――大学から同じ分野だからこそ、キャリアチェンジはなかなかイメージが湧かないですね。
角田:そうですよね。転職も同じ業界内ですることがほとんどなので。そんな中、とあるコミュニティで出会った起業準備中の友人から「文章を書く仕事を手伝ってほしい」という相談をもらって。
とはいえ、当時の職場は副業禁止で、かつ無償という条件だったのですが、気分転換にもなると思い快諾しました。
その仕事を手伝ううちに、ライティングの仕事に興味を持ちました。そして、「このスキルを身につければキャリアアップも目指せる」と思い、転職先はメディア関係にしようと決意。
重工メーカーの仕事に一度復帰したものの、「ライティングで勝負したい」という気持ちが強くなり、2年3か月で退職しました。