ドミノピザ、コロナ特需か5200人を大量採用。業績と働きやすさを分析する
新型コロナウイルスの感染防止のために、外出・移動の自粛を求められて1か月以上。外食を控える動きがますます加速しています。
飲食関連では厳しいニュースを聞くことが多くなっている中で、非常に攻めた施策を打っているのがデリバリー・ピザチェーンを展開しているドミノピザ・ジャパン社です。
同社は4月2日、需要拡大に伴い「新たに人材を5200人新規採用する(正社員200人、アルバイト5000人)」リリースを発表しました。人数規模の大きさのインパクトが強く、発表時から話題になりました。
本連載では「(ブラック企業アラート改め)アラートさん(@blackc_alert)」が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説しています。今回はドミノピザの攻めの施策の源泉について、公開情報から追いかけていきたいと思います。
実績:売上高・店舗数ともに国内No.1に
前提として、ドミノピザ・ジャパン社は非上場企業のため、上場企業と比べて得られる情報が限定的です。
そもそも、非上場企業の場合、サイト上での開示義務もありません。しかし、ドミノピザ・ジャパン社はコーポレートサイトの「ニュースリリース」ページ下部で2011年度からの決算公告を開示しています。今回はそこから情報を得て、分析することができました。
まず、決算公告内の「損益計算書」から、売上高・当期純利益を確認してみました。
この表にある2点の注意点を踏まえて、グラフの推移を確認してください。ただし、損益計算書・賃借対照表では開示されていない値ですが、「流通ニュース」(2019年7月2日)記事には通年売上高は433億円(2018年1~12月)で、宅配ピザチェーンで売上高・店舗数ともに国内No.1企業と記されています。
※1…2014年度:2015年度以降、6月を期末に設定しているため「15か月間(2013年4月~2014年6月」の値(つまり期間が長い分、金額が上振れ)
※2…2018・2019年度:損益計算書が非開示のため賃借対照表から近似項目を使って補完
自己資本比率が急激に低下している
まず、ドミノピザ・ジャパン社の直近の親会社の推移について触れておきます。2010年にアメリカの投資会社であるベインキャピタル社が買収し、のちに2013年にオーストラリアやヨーロッパでドミノピザを展開する「ドミノピザ・エンタープライズ(DPE)」社に譲渡されています。
比較的頻繁な買収・譲渡であるにもかかわらず、2017年度まで売上高・当期純利益ともに伸びている傾向にありました。そのため2018・2019年度の損益計算書の値を非開示にする理由が判然としなかったので、賃借対照表についても、同様に精査していきます。
今回の場合は、借方(資産の部)には気になる点は特になかったので、貸方(負債の部・純資産の部)の推移をチェックしました。まず自己資本比率の変動をチェックしたところ、2017年度まではゆるやかに上昇傾向だったのに、2018年度に大きく低下しています(38.3%→9.6%)。
自己資本比率は企業の資本の安定性を示しており、一般的に「高いほど良い」と言われている値です。これがいきなり下がるのには、何らかの理由があると考えられます。