新型コロナでも営業継続のライザップ。黒字転換なるか?
各種メディアで「スポーツジム」が新型コロナウイルスの感染源として報道され、運営企業は臨時休館などの対応に追われました。
しかし、利用者とトレーナーが1対1で個室にて相対するパーソナルトレーニングが主体である「ライザップ(RIZAP)」においては、店舗内外への感染被害抑止として、消毒・清掃・換気、手洗いうがいなどを徹底したことで、大方の予想に反して営業を継続できています(※4月6日時点)。
それは、新型コロナウイルスが拡大しやすい「不特定多数が長時間同じ空間に密集する状況」になりにくいことも関係しています。
「ブラック企業アラート(@blackc_alert)」が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説する本連載。今回はパーソナルトレーニングサービスなどを運営するRIZAPグループ株式会社(ライザップ)を題材にしました。
業績:2019年度は赤字。今年度は黒字転換なるか?
ライザップでは営業継続のみならず、テレワーク(在宅勤務)や他社のジムに通えない運動不足解消を目的として、トレーニング動画の無料配信を実施するなど、機動的な対応もしています。
その一方で、ライザップは2019年5月頃に業績不振を大々的に報道しており、そのイメージが強い人もいるでしょう。ライザップの業績回復のチャンスはあるのか? 公開情報から読み解いていきます。
まず売上額・利益額推移を表にしたところ、売上額は伸び続けているものの、利益額はFY2019で一度、赤字に転落しています(FY2020は第3四半期(3Q)までの値ですが、現時点では利益額も黒字となっています)。このFY2019の赤字転落が起きた理由について、決算短信・決算説明資料から示していきましょう。
ライザップは頻繁に企業の買収を行っており、各社の事業内容も多岐にわたります。
そのため、事業セグメントの再編もこの12年間で5度行われており(FY2010・FY2013・FY2014・FY2015・FY2019)、これらをすべて網羅すると、この記事単体では扱えないボリュームになるため、赤字転落したFY2019に絞って議論を進めていきます。
3つのセグメントの業績は?
まず、2019年度の利益額について、事業セグメントごとの状況を確認します。2019年度は3つのセグメントに分けられており、各セグメントの説明は下記の通りです。
・美容、ヘルスケア…パーソナルトレーニングジム「RIZAP(ライザップ)」及びRIZAP GOLF等のRIZAP関連事業の運営、体型補正用下着、美容関連用品・化粧品・健康食品、スポーツ用品等の販売等
・ライフスタイル…インテリア・アパレル雑貨・カジュアルウェア・意匠撚糸等の企画・開発・製造及び販売、注文住宅、リフォーム事業等
・プラットフォーム…エンターテイメント商品等の小売及びリユース事業の店舗運営、フリーペーパーの編集・発行、出版事業等、開発・企画/生産/マーケティング・販売等といったグループ全体のバリューチェーンの基盤となる事業