台風19号で客足が減少した「大河ロケ地」被害は軽微でもなぜ?
台風19号の上陸から2週間あまり。大規模な暴風域を伴いながら長時間に渡って上陸したことで、従来は台風被害の少ない地域にも影響が及んだ。長野県上田市の別所温泉では千曲川氾濫の報道を受け、客足が遠のいているという。行楽シーズンを目前に、観光への影響は大きい。
今回、bizSPA!取材班では別所温泉「旅宿 上松や」の支配人、小林直幸さんに話を聞いた。
被害を逃れても客足が減少。その理由とは
別所温泉は信州最古の温泉地であり、その歴史は平安時代に遡る。「美人の湯」と呼ばれる柔らかい泉質が特徴で、近年では大河ドラマ『真田丸』や映画『サマーウォーズ』の反響もあり、若年層の人気も高まっている。
「全国同じような状況ではあるとは思いますけれども、長野県は山に囲まれ、台風の影響が少ない地域でしたので、ここまでの被害は想定外でした。温泉全体の被害は少なかったのですが、お客様が半分以下になってしまった状況です。11月から紅葉が見頃を迎え、また、松茸料理を本格的に提供する期間にもなりますので、この期間にキャンセルが増えてしまうと大変です」(小林さん)
温泉街での主だった被害は、倒木や駐車場の看板がずれるなどの小規模なものにとどまったが、それでも想定外だったという。キャンセルが長引く理由について「交通アクセスが寸断されてしまったことと、台風の報道の影響が強いです」と小林さんは話す。
「別所温泉にお越しになられる方の7~8割が首都圏にお住まいで、そのうち車を利用される方が8~9割程度いらっしゃいます。そのため、台風が上陸してからは上信越自動車道が不通になって首都圏のお客様が来れないということで、当日のキャンセルが相次ぎました。こういったキャンセルによる影響は、当旅館では187組522名、別所温泉では約1500人に及びます(出典:長野県旅館ホテル組合会、調査期間:10月11~19日)。
ここ1週間は、高速道路が復旧して徐々に活気が戻りつつあります。ですが、ニュースなどでご覧いただいている様子があまりにも強烈なので、車でお越しのお客様でも心配される方が、いまだ多くいらっしゃいます」