「暗黒時代だった」人気漫画家・三田紀房が語る、20代の頃
『ドラゴン桜』『インベスターZ』などでも知られる人気漫画家の三田紀房(61)が、第二次世界大戦を数学者の視点で描いたヤングマガジン連載中の原作を映画化した『アルキメデスの大戦』が公開中です。
監督は『永遠の0』の山崎貴、主演に菅田将暉、共演に舘ひろし、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、田中泯ら豪華キャストが集結し、「戦艦大和」の建造をめぐる頭脳戦を繰り広げます。「漫画と映画がとてもうまくリンクできた」と語る三田紀房さんに、本作について、「暗黒時代でした」と語る20代の頃について、また作品作りの根幹について聞きました。
監督&主演を聞いて「やったー!」
――映画化をOKした理由を教えてください。
三田紀房(以下、三田):OKというか、完全ウェルカムです。特にこういう条件でということもなく、ただありがたい話。準備稿から読ませていただきましたが、ほぼほぼ原作に忠実でしたし、何度かリテイクしてこれで撮るとなった決定稿に100%満足でしたから、この通り撮れば間違いないと思いました。
――山崎監督、菅田さん主演と聞いていかがでしたか?
三田:「やったー!」ですよ。今の日本の映画界で最高の組み合わせだと思います。菅田さんが演じた櫂直は、原作を描いたときに、軍服の似合う超二枚目にしようと、渾身のイケメンにしたんです。天才でかっこよくて、モテる要素てんこ盛りのキャラクター。これを実写化するとなったときに、菅田さんはぴったりだなと。
目ヂカラがありますし、軍服が本当に似合う。まずビジュアルがいい。そして声もいい。張りがあってすごく通る。会議の白熱したシーンは特に興奮しました。
挑戦する若者の姿は最大公約数
――完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
三田:非常にいいパッケージになったと思いました。会議の場面なんて、我々が描いた背景がそのまま形になっていて、僕もスタッフもみんなで感無量になりましたし、冒頭の戦闘シーンなんかは、やはり映画だからこその迫力がある。漫画と映画がとてもうまくリンクできたと思います。
――畑違いの海軍で奮闘する元帝国大学の数学者・櫂もそうですが、先生の作品は、若者が逆境に立ち向かって、道を切り開いていくものが多い気がします。
三田:我々には、漫画家をやる以上は作品を当てなくちゃいけないという大命題があります。そういったなかで、何かに立ち向かっていく、挑戦する若者は、多くの人の心を惹きつける最大公約数なんです。
それと同時に、自分自身、チャレンジする若者を応援したいという気持ちがある。そういった自分の願望、願いが表現されているのもあります。