昇進する時が危ない!今の職場を見切るタイミング
「今の職場にいていいのだろうか?」と不安を覚えたり、悩んだりしない人はいません。
とはいえ、キャリアの方向を考えなくてはいけない時に、チャンスをスルーしてしまい、後悔する人たちも何人もいるでしょう。
今の職場を見切るコツはハッキリ見えない時も多いです。今回はうっかり気づかずにスルーしてしまいがちなキャリアを再考するタイミングについて、新刊『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)著者の松本利明氏に解説します(以下、松本氏の寄稿)。
「できるところまで頑張ろう」で賞味期限が切れる
いま任されている仕事を「できるところまで頑張ろう」という姿勢は称賛に値しますが、キャリアとしては自滅するリスクがあります。他社に良い条件で移れる賞味期限が切れる可能性が高まるからです。
まだやり残したこと、やれることがあって、なかなか引退できず、チームからクビを切られるスポーツ選手と一緒です。スポーツ選手は、年をムダに重ね過ぎるのは危険です。引退後、第2の道として監督の知識と経験を積もうにも、残された時間が短すぎて、開花できないからです。
ビジネスパーソンも同じです。「今の会社にいて、できるところまでやろう」と思っても、時間だけが過ぎていき、本意ではない今の仕事があなたのブランドになってしまい、選択肢が狭まります。
例えば人材育成や人事企画の知見を積もうと思ったら、中小企業で採用の仕事をしていてはいけません。それがメインでできる大手企業などに移るのが賢明です。
少しだけでも中小企業で人事をやって、経験を積んでいれば、5年も経つと「中小企業の人事」がブランドになってしまいます。「中小企業の人」が手持ちのカードになるので、他の強みや経験と組み合わせても、選択肢の幅は狭まることは自明です。
仕事に区切りをつけるメリットは2つ
できるところまでではなく、キャリアを棚卸するタイミングを決め、そこまでは今の仕事に集中するのが正解です。「入社して〇年、30歳」など勤続年数や年齢で区切るとわかりやすいです。
仕事に区切りをつけるメリットは2つ。1つ目は「あと〇年で△ができるようになるには、何をすればいいか?」と、集中すべき対象や手段を決められるので目標の姿に近づきやすくなることです。
2つ目に何かしらの転職のチャンスが訪れた時も、どちらがより理想的なキャリアのゴールに近づきやすいか、これまでの知識をもとに、選択肢を冷静に判断できる点が挙げられます。
「できるところまでやろう」の精神だと、今の職場の延長上でしかキャリアのイメージを持てないので、悩んでも合理的に判断する軸が持てません。そして、ずるずると今の仕事を続けて、キャリアが詰んでしまい、後悔することになります。