スーツ大手「青山商事」が業績悪化。店長からはハードな仕事を嘆く声も
紳士服大手4社が、2018年度の最終決算において減収減益となっている。
紳士服大手4社とは、はるやまホールディングス、コナカ、AOKIホールディングス、そして青山商事を指す。
最大手である青山商事は5月15日に3月期決算を発表。3月期決算の売上高は約2503億円、前期比では1.8%減だが、純利益で見ると57億円(前期比50.1%減)と大きく落ち込んだ。
紳士服業界の不振、なぜ?
減収減益には、紳士服販売チェーン「洋服の青山」を中心とした中核事業での落ち込みの影響が大きい。3月期決算におけるビジネスウェア事業の売上高は約184億(前期比2.3%減)、営業利益で見ると29.1%減と、落ち込みの大きさがわかる。
青山商事は、ビジネスウェアの不振の理由を、オフィスウェアのカジュアル化・クールビズ化の拡大、そして暖冬であったことも響いたと分析している。また、少子高齢化による生産年齢人口の減少など環境的な変化に対応できなかったことも、業績不振の理由としてあげている。
6月7日には、2010年から国内展開してきた「アメリカンイーグル」事業を本国に譲渡する方向で検討していると発表した。今年2月にはカジュアル業態「キャラジャ(CALAJA)」を完全閉店させるなど、カジュアル事業離れと、ビジネスウェア事業への注力ぶりが顕著だ。
兄弟4人でスタートした青山商事
業界全体の落ち込みにより、岐路に立たされているといえる青山商事。ここで、青山商事の歴史を紹介したい。紳士服の普及と同社の発展は、重なる点が多い。
青山商事は1964年に広島県府中市で創業。当初は、紳士服だけでなく食料品・飲料品なども取り扱っていた。創業から10年後にあたる1974年に、業界初の郊外立地の紳士服専門店となる青山西条店(広島県東広島市)を出店。1985年には全国50店舗を達成、1991年には売上高868億円で業界1位の座についた。
その後も拡大を続け、現在では全国に「洋服の青山」を812店舗展開するほか、中国・台湾にも出店している。またリーズナブルで若年層から支持を集める「ザ・スーツカンパニー」も青山商事が展開する業態のひとつである。
創業時はたった4人、しかも青山社長とその兄弟3人でのスタートだった。「Yahoo!ファイナンス」によると、現在の単独従業員は4010人。なお、平均年齢は35歳で平均年収は490万円。「平成29年分 民間給与実態統計調査」によると、30代後半の平均給与は442万2000円なので、約50万円ほど平均を上回っている。