施工不良のレオパレス21、社長退任へ。若手社員の声から見えてくる実情
賃貸アパート大手・株式会社レオパレス21が5月10日、創業一族である深山英世社長が退任する人事を発表した。
退任は5月30日付で、新社長にはこれまで取締役常務執行役員を務めていた宮尾文也氏が就任する。記者会見にて深山社長は、今回の人事ついて「施工不備問題によって毀損した信用および業績の早期の回復を目的とし、経営体制の刷新を図るため」とした。
いまだに引っ越し待ちの住人も。施工トラブルの顛末
レオパレス21では昨年から施工不良トラブルが相次いでいた。2018年4月に、本来使用するべき各住居の間を仕切る壁界(かいへき)を、物件に施工していないことが判明。そのため、物件の耐火性能が低下して火の手が回りやすくなったり、隣の住人に生活音が伝わりやすくなっていた。
その後も天井部の施工不備と不適合なパネルを施工の際に用いていたことが発覚し、2019年3月にレオパレス21が公開した「全棟調査進捗状況」報告書では、全国で不備が発見された物件は7085棟にのぼるとされている。
相次いだ施工不良に伴う、入居者の住み替え費用や、補修工事費はレオパレス21の経営を圧迫し、当初は380億~400億円の赤字を見込んでいた3月期の連結業績予想は、5月9日時点で690億円まで膨れ上がっている。
とはいえ、いまだに引っ越しの順番待ちという入居者も多く、組織的な不正があったという疑いも強まっている。今回の社長交代でも事態は収まることはなくレオパレス21の信頼回復への道は遠そうだ。
従業員は約8000人。レオパレス21の平均年収は?
今回、社長が交代となるレオパレス21とはどういった会社なのだろうか。レオパレス21は1973年に株式会社ミヤマとして設立された。設立時は不動産仲介業務を主として行っていたが、都市型アパート「レオパレス21」の販売をスタートしたのは、創業12年目のことだ。
家具や家電などが備え付けで初期費用が安く抑えられるほか、月単位で部屋の契約ができる「マンスリー契約」が、消費者に受け入れられ、右肩上がりに販売数を伸ばしていく。2000年7月には社名もレオパレス21に変更し、管理戸数は57万戸以上にものぼる(今年4月時点)。
賃貸事業以外にも、開発事業・国内ホテル事業・リゾート事業・介護事業なども展開している。また、2001年11月には女子ソフトボール部を発足しており、北京五輪金メダリストも在籍する強豪として知られていた(2009年12月、廃部)。
Yahoo!ファイナンスによると、公表されている従業員数(連結)は7701名で、平均年齢は36.9歳、平均年収は552万円となっている。なお、国税庁が発表している「平成29年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の30代後半の平均年収は約442万で、レオパレス21はこれを少し上回る給与水準だ。