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休日のスキー場に得意先から電話「今から来い!」驚愕の要件とは?

ビジネス

 わずが1時間半の滞在でゲレンデを後にすることになったわけですが、目的地の専務宅までの距離は250㎞。しかも、この日は吹雪で途中までスピードが50㎞制限のうえ、事故で渋滞になっている区間もあったとも。

「到着が遅くなるほど不機嫌になるのは目に見えていたので、サービスエリアでトイレ休憩も取らずに車を走られていました。

 でも、そんな苦労も知らずに専務からは『どんだけ待たせるんだ。契約を切られたくなかったらさっさと来い!』というメールが届くし、憎しみを通り越して殺意すら湧いていましたね。1人でずっと『クソ専務!』や『調子こいてんじゃねーぞ、ハゲ野郎!』とか悪口を大声で叫びながら運転してましたから」

専務宅に到着するもまさかの不在

ソファ

 専務宅には約束の17時の5分ほど前に到着したそうですが、なんと外出していて不在。電話をすると、「食事に出かけてるから少し待っていてくれ」と1時間以上も待たされたそうです。

「家に戻ってきた専務はまったく悪びれる様子もなく、『昼間のうちに来てほしかったのに困るよ』と軽く私にダメ出し。まあ、そういう人なのでスルーして肝心の頼み事を尋ねたら、買ってきたばかりのデスクトップパソコンの組み立てと初期設定を代わりにやってほしいというものでした」

 以前、仕事中の雑談でパソコンの話をしていたのを覚えていたらしく、「君はそういうの得意だろ? だから、やってもらおうと思ってね」とさも当たり前のように言われたといいます。

「30分ほどで作業は終わりましたが、『おつかれさん』の一言で終わり。お茶の一杯すら出ませんでした。まあ、それでも満面の営業スマイルで『お役に立ててよかったです』と答えましたけどね。社会人になっていろんな人を見てきましたが、この専務はダントツ1位のクズ。自分は絶対にこんな人間にはなるまいと心に誓いました」

 その後も専務に振り回され続けたそうですが、担当者が別の社員に替わったことで今は平穏な毎日とか。「仕事はそれなりに忙しいですけど、気分的にはストレスフリー。パシリ同然の頼み事や突然の呼び出しがない日々がこんなに快適だとは思いませんでした」(河合さん)とも。

 普通に仕事をしているだけなのに幸せだと感じる河合さん。モンスター取引先を相手によくぞ耐えきったと拍手を送りたいです。

特集・モンスタークレーマーとの死闘 Vol.7 ―

<TEXT/トシタカマサ イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>>

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中

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