コモディティ化とは?具体例もわかりやすく解説【いまさら聞けないビジネス用語】

ビジネスシーンにおいて、適切な言葉遣いは重要なスキルのひとつ。基本的なビジネス用語を理解していることは、コミュニケーションの円滑化に直結します。本記事では、いまさら人に聞けないけれど、知っておきたいビジネス用語をわかりやすく解説。それぞれの用語が持つ背景や使用されるシチュエーションを押さえておくことで、職場での会話やメールに自信を持てるようになります。今回は「コモディティ化」についてわかりやすく紹介します。
目次
「コモディティ化」とは、これまでの価値が失われ差別化が難しくなった状態のこと
コモディティ化(commoditization)とは、本来差別化されていた製品やサービスが、市場において一般的になり、価格以外での差別化が難しくなる現象を指します。
コモディティ化が起きると、本来は製品に付加されていた価値やブランド力、機能の違いが消費者にとって判別しにくくなり、購入時の判断基準が「価格のみ」になってしまうのが特徴です。そして、このコモディティ化は、昨今ではさまざまな産業の中で発生しています。
私たち消費者にわかりやすく、簡単に言うと「どれを選んでも違いがわからなくなってしまった状態」のことです。たとえば同じようなスペックのノートパソコンが複数のメーカーから販売されているとき、消費者にとっては「どれも似たようなもの」に映り、価格が最も安い商品を選ぶ傾向が強まります。
このような状況では、企業は差別化が困難になり、利益率も下がるという問題が生じてしまうのです。
なぜコモディティ化が起こるのか?
コモディティ化の背景には、さまざまな要因があります。ここでは、その要因について見ていきましょう。
技術革新
もともとは特別だったある技術が、広く普及し、多くの企業が同水準の品質・機能を提供できるようになると、製品間の差が小さくなります。その結果、消費者の視点からは「どの商品も大差ない」と感じるようになります。
市場の競争激化
多数の競合企業が存在する市場では、各社が他社と同様の機能やサービスを導入し、模倣が容易になることも少なくありません。そのため、短期間で差別化が失われ、コモディティ化してしまうことがあるのです。
消費者の価格志向
多くの選択肢が存在する現代では、消費者が製品の細かい違いに注目するよりも、「コストパフォーマンスがよいかどうか」を優先する傾向が強まっています。また海外からの輸入商品が低価格化していることもあり、安いほうを選びやすいという傾向にあるのです。
コモディティ化の具体例
幅広い業界で起きているコモディティ化ですが、より具体的な例を紹介します。
家電業界
テレビや冷蔵庫などの家電製品は、かつてはメーカーごとに明確な違いがありましたが、現在では多くの製品が高性能化・低価格化し、差異が見えづらくなっています。結果として、消費者の選択基準は「価格重視」に傾き、メーカーは利益率を維持するのが困難になっています。
インターネット回線サービス
光回線やモバイルWi-Fiなどの通信サービスも、通信速度や料金プランが似通っており、「どの会社を選んでも大きな違いがない」と感じるユーザーが増加しているでしょう。ここでも、価格やキャンペーンでの差別化しか残っていない状態が見られます。
コンビニコーヒー
あらゆるコンビニからコーヒーが発売されており、低価格化が進んでいます。もちろん、一部では「セブンのコーヒーが好き」といった志向も見られますが、全体としては価格や利便性が選択基準になっている傾向が強いといえるでしょう。コーヒーマシンや豆などで各社が差別化を図ろうとしていることも、コモディティ化が進んでいる証拠といえます。
コモディティ化を回避するには?
企業がコモディティ化を回避し、持続的に競争で優位に立ち続けるためには、いくつかの方法があります。
顧客体験(CX)の向上
製品やサービスそのものではなく、購入から使用、サポートに至る一連の顧客体験に価値を見出す戦略です。たとえば、スマートフォンやPCの業界において、Appleは製品の性能だけでなく、店舗での接客やデザイン、ブランドイメージを含めた顧客体験で差別化を図っています。
ブランディングの強化
製品スペック以外の価値、つまり「そのブランドを選ぶ理由」を明確に打ち出すことが重要です。それに加えて自社の強みを活かした独自性のある商品の提供なども、欠かせない戦略といえるでしょう。
マーケティング手法の変更
同じ商品でもマーケティングの手法によって、そのイメージは大きく変わることがあります。特に新たなターゲットを獲得したい場合は、これまでのマーケティングとは異なるフィールドや角度からアプローチしていくことが求められます。
コモディティ化を理解し、差別化戦略を行うことが大切
技術進化や市場の成熟が進む現代においては、コモディティ化は避けて通れないテーマであり、簡単に起こりうる現象でもあります。だからこそ正しく理解し、適切な対策を講じる必要があるでしょう。
コモディティ化の波に飲まれず、自社の強みを活かした付加価値のある製品や新たなターゲットの獲得などを目指していくことが、生き残る上で重要であるといえるのです。