副業の残業代は誰が払う?払われないケースもある?【弁護士に聞く労働問題】
日々働いていると、職場でハラスメントやトラブル、不当な扱いなど、理不尽な問題に直面することは避けられないことかもしれません。そんなとき、自分一人で対処するのは難しいものです。専門家である弁護士に相談し、法律に基づいたアドバイスを受けることで、問題をスムーズに解決する手助けとなります。bizSPA!フレッシュでは、労働問題に関するよくある質問をピックアップして取り上げていきます。
今回は、「副業の残業代」について、アディーレ法律事務所の岩井直也弁護士に解説していただきました。
目次
Q1. 会社の許可を得たうえで副業(ダブルワーク)をしているのですが、残業代が発生する場合はどのように計算するのでしょうか?
労働基準法38条は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定します。すなわち、本業と副業の労働時間を合算した結果、残業した場合=所定の労働時間以上の労働を行った場合には、残業代が発生します。
例えば、いずれも所定労働時間通り、本業で5時間、副業で5時間働いた場合、各会社単位では8時間以内に収まっているものの、合計すると10時間労働し、8時間を超過しているため、2時間分の残業代を請求することが可能です。
Q2. 残業代は本業と副業どちらの会社が払ってくれるのでしょうか?
この場合、残業代をいずれの会社が支払うかについては、残業をさせたほうの会社が支払うこととなります。一般には、後に労働契約を締結した会社は、先に働いている会社の存在を認識したうえで労働者を働かせていると考えられることから、後に労働契約を締結した会社が残業代の支払義務を負うことが多いです。
ただし、合計した所定労働時間がすでに法定の労働時間(1日8時間)を超えることを知りながら、労働時間を延長させた場合には、労働者が残業する蓋然性が高いことを知りながら労働させたといえるため、先に労働契約を締結した会社に残業代の支払義務が生じることもあります。
Q3. 残業代が払われないのは、どのようなケースでしょうか?
例えば、管理監督者(労働基準法41条2号)など、副業の如何に関わらず残業代の請求が困難な事由がある場合は無論、残業代は払われません。
また特に副業については、フリーランスのように個人事業主として働くケースも多いと思われますが、個人事業主に対しては労働基準法が適用されないため、残業代の請求ができない点に注意が必要です。
[協力]
アディーレ法律事務所